新選組血風録 (中公文庫)

新選組血風録 (中公文庫)

殺戮集団の中の血の通った人間のドラマに、胸が熱くなりました

 新しい時代の足音が聞こえる幕末の京都を舞台に、新選組隊士たちのエピソードを描いた作品が15編、収められています。  京洛を戦慄させた殺戮集団・新選組の峻烈さがひしひしと伝わってくる作品の緊迫感。血煙をあげる争闘の日々の背後で、確実に移り変わっていく時の歯車の音を聞くような臨場感。そして、恐るべき殺人組織を構成する有名無名の隊士たちの、血の通った人間のドラマ。頁をめくるうちに本の中の世界に吸い込まれていくみたいな、無類の読みごたえに夢中にさせられましたね。  局長・近藤勇の名刀への執着(「虎徹」)、副長・土方歳三の粛清の苛烈さ(「鴨川銭取橋(ぜにとりばし)」)、一番隊組頭・沖田総司の哀しいほどに澄み切った明るさ(「沖田総司の恋」「菊一文字」)など、新選組の面々の性格がその行動とともに、話の中に鮮やかに描かれていたところ。見事だったなあ。それぞれの作品の主人公となるほかの隊士たちにも魅力的な人物が多く、なかでも、「胡沙笛(こさぶえ)を吹く武士」の鹿内(しかない)薫、「弥兵衛奮迅」の富山(とみやま)弥兵衛の人間味に惹かれました。  作品の配置では、「油小路(あぶらのこうじ)の決闘」が冒頭に置かれているのが引っかかりました。第一番目の話としては唐突な感じがしたんですね。おこがましい申しようですが、「弥兵衛奮迅」の話の後に置いたほうが、作品の読みごたえがより増すような気がしました。  15編の中、特に気に入った作品は次の三つ。主人公の妖しい美貌にぞくりとした「前髪の惣三郎」、主人公の心境と行動の変化に強く共感させられた「胡沙笛を吹く武士」、一輪の野の花のような、はかない恋の切なさが胸にしみた「沖田総司の恋」。

≪ゃ荐篋

2008年05月26日 00時03分 / にぽぽのお散歩日記 803fine.blog69.fc2.com
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