グローバリゼーションとは何か―液状化する世界を読み解く (平凡社新書)

グローバリゼーションとは何か―液状化する世界を読み解く (平凡社新書)

グローバリズムとナショナリズムの共犯関係

 現代世界を覆うグローバリゼーション。本書はその全体像を多角的に描き出そうとしたものだが、そのことによって、かえって内容が分かりにくくなっていることも否めない。しかしよく読めば、論点の中心がつぎの二点にあることが分かる。  (1)グローバリズムとナショナリズムが相補的な関係にあること。  (2)グローバル化には世界の統合化と差異化(差別)の二面があること。  (1)では、ナショナルな領域性を侵すグローバリズム(特にグローバル資本)が、国家自体を崩壊させるのではなく、国家の機構や制度を、民営化や規制緩和によって変形・再編し、そのことが市民権までも侵害していることが指摘され、(2)では、グローバル化による世界の統合化が、世界的な規模での経済的・文化的格差を拡大させ、発展途上国の人々を低賃金で働かせるというかたちで、新たな人種差別、性差別を惹き起こしていることが指摘されている。  いまナショナリズムが国家主義的に唱導されると同時に、国民の間で反米あるいは反中国が叫ばれている。そこにあるのは他者の排除である。しかし重要なことは、こうしたナショナリズムに陥ることなく、グローバル資本への抵抗の場を築いていくことだ、と筆者はいう。  本書が出版された時期は、前年発足した小泉政権による民営化・規制緩和の大号令が喧しく叫ばれていた時期に当たる。そのときにあって、すでに政権の本質を見抜いていた本書のような主張がもう少し国民の間で共有されていれば、今日の状況はかなり変わっていたかもしれない。