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希望の構想―分権・社会保障・財政改革のトータルプラン

希望の構想―分権・社会保障・財政改革のトータルプラン

「ほどよい政府」の構築を目指して―「三つの政府」というヴィジョン

 はじめに、本書を読み解くにあたってのキーワードは、「三つの政府」体系であり、具体的には「中央政府」「地方政府」と並ぶ「社会補償基金政府」である。少々耳慣れない機関名だが、国民経済計算(SNA)上の概念でもあり、端的に言って、社会補償基金はその歴史的形成過程を振り返ると、「生産の『場』における自発的協力に基礎づけられた政府」(神野直彦『財政学(改訂版)』有斐閣,07年)と規定され得る。    この社会補償基金政府を加えた「三つの政府」論を軸として、神野直彦・東大教授と若き研究者たちが財政社会学的な観点から、地方分権改革、年金・医療等の社会保障改革、税財政改革などに関するトータルデザインを示し、画期的な構想を盛り込んでいるのが当書であり、特に、政治家の皆さん方には、与野党を問わず、是非とも目を通していただきたい書物であると考える。  とりわけ、昨今の税制論議を見聞きするとき、同書が指摘、提起するような本質的な議論が抜け落ちている思いがする。すなわち、「選挙の谷間」の年に消費税引き上げを画策する与党や政府税制調査会(政府税調)の“姑息さ”はさておき、消費税を「社会保障財源の中核」(11月20日、政府税調答申案)とする前に議論すべき事項が本書で摘示されている。  先ず、日本の消費税における「帳簿方式による仕入税額控除」(本書)及び当該方式に伴う「小売業者の手元の残る益税」(同)の不透明性等を解決し、少なくとも当書のいう「インボイス(納付税額票)方式」を導入し、信頼性を担保すべきなのだ。次に、より根元的な議論だが、政府間の社会保障に係る役割分担と税収配分の問題であり、この課題に対して当書は、前出の「三つの政府」論に基づき、秀抜かつ精明な解答を与えてくれる。 最後に、私は「希望の構想」研究会を立ち上げ、次いで「希望の構想」推進協議会(会議)を設立し、「ほどよい政府」の構築を目指して欲しい、と願わずにはいられない。