ケストナー―ナチスに抵抗し続けた作家

ケストナー―ナチスに抵抗し続けた作家

ケストナーの信念がびりびり伝わる

 本書は、ケストナーの日記や手紙をもとに、彼の生涯を詳しく 客観的に紹介した伝記である。家庭の事情やマザコンだったこと、 失恋話や愛人を作ったことなど、私生活もケストナーの心の思いも ありのまま書き出されている。 例えば『飛ぶ教室』に出てくるエピソードと同じ経験を ケストナー自身が体験していたことなども記されていて、 彼の作品をより楽しく身近に感じられるようになる。  しかし、この本で最も目を引くのは、ケストナーの戦争に対する 考え方である。彼は政治や社会を鋭く見つめ、体制に批判的な 文章を発表していたため、ナチス政権下で執筆活動を禁止される。 命が狙われる危険もあったのに、亡命せずドイツに留まり、 愛する祖国が変貌していく様子をじっと観察していた。 戦後、彼が発表した詩やエッセイが所々に引用されている。 それらの文章から、激動の時代を生き抜いた作家の、平和に対する 願いが強く感じられる。時には厳しく、時には優しく、そして必ず ユーモアを交えながらドイツの人々に様々なメッセージを伝え続けた ケストナーの信念を、この本はたっぷりと教えてくれる。

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2007年05月16日 01時06分 / 本からの贈り物 milesta.blog72.fc2.com
『ケストナー―ナチスに抵抗し続けた作家』 クラウス コルドン
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