ジゴロ (集英社文庫)

ジゴロ (集英社文庫)

情事と恋愛の線上

新宿二丁目の路上で出会う、カイを中心とした女性達の恋愛や情事を描く連作短編集。 こういう作品は、それぞれの短編同士との絡み合いを見つけるのが楽しい。 命を賭けるような恋愛の緊張感ではなく、むしろユーモアさえ交えながら、愛情深く登場人物が描かれている。 人生の悲哀や悲壮ですら、他者から見るとどこか滑稽なときがある。そこに、セクシュアリティやジェンダーは関わりない。ビアンだからと選り好みせずに読んでもらいたい。 恋愛ではない情事だけの関係は、時に苦しく、悲しい。 心中は情事ではなく、恋愛がもたらすもの。ジゴロは、恋愛ではなく情事を重ねるもの。 ただし、情事は情事と割り切れる人ばかりとは限らない。心と体は切り離せるものではない。 カイがジゴロたりえるのは、徹頭徹尾、メグだけを愛しているからだ。魅力的でありながら、揺らぐことがないからだ。希望に満ちた最終話は、だからこそ、曇り空が晴れて行くような明るさを持っている。 だから、間違えてはならない。誰もがジゴロになれるわけではない。魅力も覚悟もなしにジゴロになろうとしても、禍根を残すのがオチである。