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清兵衛と瓢箪・網走まで (新潮文庫)
- 新潮社
- 1968-09
- 78640篏
- ¥ 460
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- 若吟若帥:清兵衛と瓢箪・網走まで (新潮文庫)
- 違с膣剛(FC2違若吟)
倫理的潔癖症
処女作「網走まで」が興味深い。志賀直哉はだんだん成長していくタイプの作家ではない。初めから思想、モチーフ、創作手法、文体が完成された形で出現した作家だ。この短編も中期の「小僧の神様」も後期の「灰色の月」も、時代背景や状況は全然異なっているが、制作モチーフと人物の配置はそっくりだ。特権階級にいる(あるいは裕福な)主人公の前に、人生の断崖絶壁にいる(すくなくとも貧乏な)人物が現れる。そういう状況におかれた主人公の心の動きを、説明的文章を殆ど入れずに明確に読者に伝えることに成功している。心の動きとは、一種の「罪責感」を伴う「居心地の悪さ」と言ってよいだろう。自己満足的な「施し」には「不快な感じ」を覚え、一方、基督者的な「世界への無限責任(アガペー)」は到底背負えないとい拒否する。どちらに対する拒絶も常人離れして激しい。近代日本人の心の深部に在るものが、人物の些細な絡みの中に正確に表現されている。












