土の中の子供 (新潮文庫 な 56-2)

土の中の子供 (新潮文庫 な 56-2)

人との関わり。

表題となっている「土の中の子供」と短編「蜘蛛の声」の2話が収録されている。 どちらの作品も不遇な幼少期を過ごした男性が主人公であり、成長の過程で、 あるいは大人になった現在も、当時の記憶が色濃くその後の人生を多い尽くしている様が 悲しく、暗い。 「蜘蛛の声」は、多い尽くされ混沌としている男の姿が描かれ、「土の中の子供」は 同じであるものの、虐待後に引き取られた施設長との出会いのおかげで、かろうじて均衡を 保ち、人生の光を失っていない点に、大きな違いがあると思う。 人との出会い、頼れる者の存在、そして、自分が頼られる存在になることの大切さを見た、 というのは安易な感想だろうか。