幽霊たち (新潮文庫)

幽霊たち (新潮文庫)

簡単な様で難しい

ある人物ホワイトにブラックの調査を依頼された探偵ブルーですが、そのブラックの日常に何も変わったことは起こらず、読者がひたすら追うのは結局ブルーの内面や行動であることがとてもユニーク。ブルーが父親との思い出など過去を思い出したりする場面、自分からアクションを起こしたり相手と対峙する場面、また、あれこれ思いに耽ったりなどの描写のいくつかは、とても興味深かったです。中にはちょっとなかなかお目にかかれないような表現があったりして。 大都会に生息する作家ならではの視点が感じられましたし、登場人物の名称が色の名前であることがこの本の内容を実体の無い幽霊のようなものにしているに見えて、普遍化もしているように思えました。 ブルーが自分と向き合っている時、読者もブルーに成り代わりブルーの内面と向き合う。自分自身について考えるとはナンだろうか?改めて読者もここで自分に問いかけるのでしょう。もう考えれば考えるほどわからなくなりそうな・・・ 原文の文章は短めで独特のリズムというか乾いた調子があります。ブルーの自問自答の様子とか相手との対話の場面などにおいては、読んでいて思わずしらずその独特のリズムに乗せられている感覚があり、なるほど原文を読む面白さは有るのだなと思いました。