同じ年に生まれて―音楽、文学が僕らをつくった

同じ年に生まれて―音楽、文学が僕らをつくった

ユーモアは人生にひそむ天使の透かし

刺激に満ちた対話。やはり特別な個性を培って来た大人の繊細な会話は気持ちよい。 ここでも多くの人が書かれているから、その内容の深さはおまかせして、ふたりの、とくに大江さんのユーモアの楽しさもたくさん溢れていてたのしいです。 一例をひとつ。 大江: 僕の家内は、僕の友だちの伊丹十三の妹でしたが、僕が彼女と結婚したのはね、伊丹君は天才的な男ですが、実社会ではうまく生きていけないだろうと、妹は代りに僕が引き受けてやろうと、ゴーマンなことを高校生が考えたわけですね。 小澤: ああ・・・。 大江: 実際にはいろいろあって、やっと結婚してもらったんですが、結婚してから一年半くらいは僕の話は八割り方分からなかったそうです。 小澤: ・・・(笑) 大江: こちらは、なにか謎を秘めたような感じの彼女の対応を、美しいと思ってたんですが。 小澤: アッハハハ。 大江: そういう幸福な誤解ってあるもんですね(笑)。