-
-
断崖の年 (中公文庫)
- 中央公論新社
- 1999-09
- 106148位
- ¥ 660
- Amazonで詳細を見る
- ユーザータグ:断崖の年 (中公文庫)
- ブログでこの商品を紹介する(FC2ブログユーザー)
病気による意識の変化
アフリカに行くために気楽に健康診断をしたことがきっかけで、腎臓に腫瘍を発見してしまった日野氏の、一年半に渡る意識の揺らめきを示した作品。 日野氏といえば、先駆的な「都市幻想小説」や「都市エッセイ」に表わされる、無機物なものへの偏愛が顕著な作家である印象が深いですが、入院を通してその意識に変容が齎されていることがわかります。古い意味での自然の恩恵に救いを求め、他者に対する優しさの大切さを氏は実感し、それまで書を読むことを通じて考察してきた生死の問題が、実際に自らの身の上のことになると、無効になるということも述べています。都市の無機質さに関しても、『東京タワーが救いだった』でも、『牧師館』のラストでも、『屋上の影たち』も、幾分肯定的ではありますが、『牧師館』で見られる薄暗い山奥に生きる人の伝統的な生き方の肯定や、『空海の裂け目』で「東京自体をこの三年ほどの間に急速に好きでなくなってもきている。」と書かれているように、これまでのように全的な東京至上主義ではなくなってきています。 とにもかくにも、収録される五篇はどれも素晴らしく、まさに断崖からの光景、現実が剥ぎ取られた本当の現実の光景が浮き上がっています。重い病気に侵され幻影を見ながらも、「闘病記」とは程遠い、クールな意識と文体を保つことはすごいと思います。この入院を通しての日野氏の精神の集大成となったのが、まさに最後の長編『天池』なのでしょう。ずっと東京を中心に作品を書いてきた氏が、死の間際になって旧来的な自然を舞台にした長編を書いたということには、深い意味を感じます。
このアイテムを含む記事
- 2006年08月03日 09時57分 / One Step ビヨ〜ん!! onestepbeyooond.blog57.fc2.com
-
夢の島はゲイの島!?
「 夢の島はゲイのパラダイス 」 という、ちょっとショッキングな見出しに反応してしまった。東京都江東区の 「 夢の島公園 」 ・・・園内には熱帯植物園や総合運動場、バーベキュー広場などがあり、普段は家族連 ...












