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ペトロス伯父と「ゴールドバッハの予想」 (ハヤカワ・ノヴェルズ)

ペトロス伯父と「ゴールドバッハの予想」 (ハヤカワ・ノヴェルズ)

ノンフィクションドキュメントを読んでいるような迫真の内容でした

とても不思議に小説でした。思わず惹きこまれました。ゴールドバッハの予想は、とても簡単に言い表すことができる数論の未解決問題です。これをテーマに、その解決を目指した研究者(叔父)の生涯を描いています。著者が研究経験もあるので、学会の様子や研究過程の記述が、とても現実的でした。実在の人物の様子や係わり合いもとても自然です。単に数式を取り上げただけで、その内容と主題を理解して扱いきれない見せかけの小説もあるようですが、本書は充実していました。 片道約1時間ほど電車に乗って通勤しているので、1日で読み終えましたが、朝は電車を降りるのがいやになりました。帰りは、自宅近くの駅に着いたときに残り数ページだったので、改札口を抜けて、しばらく通路で立ったまま最後まで読みました。読み終えた日の晩は、内容が私の夢にも現れました。 ところで、欧米の人には、博士やポストドクのときに良い研究成果をあげても、まったく関係ない分野の職業につく人が珍しくないのですね。特に、小説家やジャーナリズムの世界に入っていく人が活躍しているように思います。そのような一定以上の研究業績や専門知識を持った人が、専門以外の分野に進出することで、全体の文化水準が保たれ、このような小説が受け入れられるのだと思いました。