本泥棒

本泥棒

死神が語る唯一の真実

『本泥棒』というなんとも魅惑的なタイトルに惹かれて手にした本。 死神の目と言葉で語るリーゼルという少女の物語。 本の表紙カバーには例の長い鎌を持った死神のイラストが描かれているが この死神は鎌を振り下ろすことはしない。黙々と死に逝く人を運ぶという 己に与えられた仕事をするのみだ。 字が読めなかったリーゼルが里親の父・ハンスの助けによって、「ことば」を獲得し 世界をことばで表現できるようになる過程がとても印象的だ。 本に飢え、ことばを心の栄養にするがごときようすは凄味を帯びている。 ナチス・ドイツ、ヒトラーの圧倒的な支配力に抑圧される時代だ。 その抑圧と恐怖のなかで、ユダヤ人青年・マックスを匿うリーゼル一家の 人としての正義感が読者の共感をよぶのだろう。 リーゼルの父・ハンスも母・ローザも、「人間」として生きたのだ。 ヒンメル通りの人々は個性的で、隣家のルディ少年とリーゼルの関係は とりわけこの物語に明るさをもたらしている。 リーゼルは決して幸福に生きたわけではないが、彼女に関わる人々が 彼女にもたらしたものを、「ことば」できちんと再構築するという作業が リーゼルの血肉となったのだ。 「愛」の記憶は人を裏切らない。 死神にさえ「わたしは人間にとりつかれている。」と言わしめるほどに、 真正直で、与え与えられる愛をやりとりした人間の魅力がいっぱいに 詰まった作品である。

≪ゃ荐篋

2008年07月06日 23時27分 / 日常&読んだ本log tsuna11.blog70.fc2.com
「本泥棒」/世界は美しくも醜いシチュー
本泥棒(2007/07)マークース・ズーサック商品詳細を見る語り手は死神。表紙が全てを物語っているけれども、これは少女と死神(実際、大鎌は持ってないらしいけれど、人間はこのような姿を想像する)と本の物語。「す ...
2008年07月06日 10時06分 / みすじゃん。 ramaramar.blog118.fc2.com
本泥棒 / マークース・ズーサック
本泥棒(2007/07)マークース・ズーサック商品詳細を見るナチス政権下のドイツ。里子に出された孤独な少女リーゼルの密かな慰めは、本を盗むことだった。数奇な運命を辿る「本泥棒」の一生を、「死神」がナレーターと ...
2007年12月31日 07時48分 / 読書会(仮) doudatta.blog123.fc2.com
【選考】課題図書0802
Y、ブログ作成ありがとう。早速今年中に書き込んでおきます。次の課題図書ですが、今あがっているのは「本泥棒」本泥棒(2007/07)マークース・ズーサック商品詳細を見る「悪童日記」悪童日記 (ハヤカワepi文庫)(2001/ ...
2007年12月29日 11時57分 / harry:holly eggplanting.blog123.fc2.com
マイ・フェイバリットブックス・2007
2007年も残りわずか。年賀状も出し終えました…やっと。私にとっての2007年は、読書の幅、時間、興味が広がり、本との出会いが増え、図書館も利用するようになり、本好きの友達もでき…と、非常に豊かな読書生活を送 ...