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クオリア降臨
- 文藝春秋
- 2005-11-25
- 137842篏
- ¥ 1,700
- Amazonц括完荀
- 若吟若帥:クオリア降臨
- 違с膣剛(FC2違若吟)
無限に浮遊する感覚の文学論
私たちが何かに向かい合ったり感じたときに生まれる大いなる印象や質感。その「クオリア」という脳内現象を以って試みられた文学論。 脳生理学や認知行動学の立場から文学を論じているという点で、まずこの本はユニークであるけれど、面白いのは、多くの文学作品を媒介にしながら、普遍的な美について、世界について、人間について論じていることだと思う。世界の深遠を見下ろし、そこに降りていくような感覚。 「近代科学が前提にしてきた数や方程式による記述を拒否する、それらのユニークなクオリアこそが、私たちの体験のメルクマール(刻印)となる。」 「生きものたる人間が掴むことのできる世界は、日常の猥雑な小世界の中に垣間見える可能無限である。」 中原中也の詩を思い出す。 風が立ち、浪が騒ぎ、 無限のまへに腕を振る。 もともと、文学にしても、科学にしても、数学、哲学、宗教にしても、普遍的な美、永遠を希求して行われる人間の営みなのだろうと思う。ヨーロッパを旅行したとき、宗教画や建築物がどれも高みや光を偏執的にまで追求しているのを見て、なるほどなと思ったけれど、古今東西、人間が求めてきたことはそこにあるのだろう。 文学や絵画、建築を見てクオリアを感じることもあれば、日常の中で空の色や花の美しさに陶然とすることもある。そればかりか、茹で上がった野菜の色の美しさや食器の色合いなど、クオリアは確かに生活の細部にまで満ちていて、プラトンの言うイデアのように、美は遍在し、個々の存在たる自分たちがどうそれを認知し享受していくかであろうと思う。











