マラソンランナー (文春新書)

マラソンランナー (文春新書)

新書ではなく単行本での出版という選択はなかったのか…

主人公として取り上げられた6名は、著者が考える、その時代の日本を象徴するランナーである。東京オリンピックの頃を象徴するランナーとして、円谷幸吉ではなく君原健二を取り上げているのが如何にも彼らしい。もっとも、著者は登場する人達に円谷のことを必ず訊ねているので別格ともいえるのだが…。 著者は、そのランナー自身にとって最も印象深いレースは何か、何を考え、何を目的に走るのかということを取材する。そして、その結果が日本のマラソンランナーの思想の変遷となっている。著者は短篇作品であっても何度も取材を重ねてその人物像を描く作家なのだが、この作品ではそういう様子は伺えない。よって、章を構成する個々の作品は、著者のほかの短篇作品と較べるとチョット物足りない。この作品のために取材した章と、そうではなく過去の自作をもとに構成されている有森裕子の章を較べると違いがわかる。 しかし、全編あわせて一つの作品と考えて読んでみると、日本のマラソン史とランナーの思想がコンパクトにまとめられたいい作品である。ただ、枚数の限られた新書ではなく、単行本という選択はなかったのかなぁと残念に思う。

FC2違若吟若ャ

2008年07月12日 17時28分 / ラメロウ ramerou.blog18.fc2.com
5剛賢4
1912年のストックホルム五輪に日本人として初めて参加した「日本マラソンの父」金栗四三(かなくりしそう)。「悲劇のランナー」円谷幸吉。日本マラソン界の「貴公子」瀬古利彦。「こけちゃいました」の谷口浩美。バルセロナとアトランタ五輪のメダリスト有森裕子。そして「Qちゃん」こと高橋尚子まで、日本のマラソン界を代表する選手を描いた人物列伝です。 日本マラソン界の百年の変遷を辿るだけでなく、時代の変化や、選手達の五輪に対する思いの変遷が描かれており、単なる人物列伝では終わっていないところが、この作品の素晴らしいところだと思います。