存在の耐えられない軽さ (世界文学全集 1-3)

存在の耐えられない軽さ (世界文学全集 1-3)

哲学的な部分がもっと理解できれば・・・

この物語自体は、1988年に公開されたフィリップ・カウフマン監督の映画で知っていました。 映画では、プレーボーイの医者トマーシュに田舎娘テレザと画家のサビナの奇妙な三角関係が、<プラハの春>からソ連軍の侵攻という時代を舞台に描かれていました。 今回本書を読んで驚いたのは、題名の通り非常に哲学的な部分が多々あったことです。この部分への理解があってこその作品だとは思うのですが、なかなか完全に理解するところまでは行きませんでした。 従って、トマーシュとテレザの二人の主人公の物語として読み進んだという結果になりました。 何人もの女性を相手にしているトマーシュは、テレザを「特殊」な存在として認識し、その領域には他の女性は入りえないという風に感じています。従って、二人の関係は相思相愛のように見えながら、互いにそうした関係に疑問を持ちながら暮らしています。 そして、ソ連軍の侵攻からプラハを立ち去りスイスへ。しかし、又プラハに戻り、更に田舎へ。 チェコという国が、大国に翻弄された歴史の中に存在したように、彼らの人生も翻弄されます。 ただ、そこには彼らの「決断」も介在しています。この「決断」が、人生の「軽き」に向かったのか、「重き」に向かったのかは、一度しかない人生にとって、結果論でしょう。 ただ、この二人の関係は傍から見れば、魅力的な関係に見えます。本人たちがどう思っていようとも。 この本も魅力は、登場人物たちの魅力と、アイロニーに溢れる文章、そして、行きつ戻りつしながらも、リズミカルな物語の展開でしょう。 話だけを楽しむのであれば、哲学的な部分は邪魔かも知れませんが、それでも楽しめる小説であり、哲学的な部分がもっと理解できれば、その分、楽しみも大きくなるような、そんな小説のような気がします。

≪ゃ荐篋

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