ハワーズ・エンド (世界文学全集 1-7) (世界文学全集 1-7)

ハワーズ・エンド (世界文学全集 1-7) (世界文学全集 1-7)

今に繋がる・・・・

 「小説は書き出しが大事である」と池澤が「月報」で書いているその書き出し。 「まず、ヘレンがその姉に宛てた何通かの手紙から始めたらどうだろうか。」となっている。  本書を読み終わってからまたこの書き出しに戻って、妹ヘレンがその姉マーガレットに宛てた3通の手紙をもう一度読み返してみる。なるほどそうだったのか、とガッテン!!  約100年前(1910年)に発表された本書は、21世紀の社会・経済の諸問題を早くも浮き彫りにしている。 「所得格差問題」然り、「シングルマザー問題」然りである。  「ただ結びつけることさえすれば・・・」という扉の言葉も意味深である。  何と何を結びつけるのか、何と何が結びついているのか。  イギリスの上流階級の中で進歩的知識人のシュレーゲル家と、実業界の保守派・ウィルコックス家の結びつきであり、  彼らと金融会社をリストラされたレオナード・バストとその妻ジャッキーといった貧民クラスとの結びつきである。   マーガレットの金銭感覚は21世紀初頭の日本の「ヒルズ族」を髣髴とさせる。  「・・・・・一番恐ろしいのは愛情のなさではなくて、金のなさではないかと思い始めた」彼女は、「そう金持ち、金がすべて」といっているのを読むと、「金儲けの何が悪い」と開き直ったあの村上某そっくり。  尤も社会主義に目覚めたヘレンはこの姉の意見に対立する。その二人も最後は・・・・・。  物語の前半でウィルコックス家の人々と我々読者には知らされているが、シュレーゲル家の人々には知らされていないある事実が、どうなるやら気がかりであったが、最後の最後にとてもスマートに解決することになった。  作者は最後まで我々読者にお楽しみを残しておいてくれたのだ。

≪ゃ荐篋

2008年05月18日 22時48分 / 「池澤夏樹=個人編集 世界文学全集」全部読み倒す! ginkozensyu.blog101.fc2.com
「ハワーズ・エンド」その1
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