ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ―ハイテク海洋動物学への招待 (光文社新書 (315))

ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ―ハイテク海洋動物学への招待 (光文社新書 (315))

バイオロギング科学への招待

著者の研究歴に沿った水生動物の生態研究成果を紹介しながら、実際のバイオロギング科学とはどんなものなのかを熱く語ったものである。ただし、表題の動物のうちクジラはほとんど登場しない、ペンギンとアザラシ君が主役となっている。 軽妙な語り口の間に、新進気鋭の学徒の熱意が素直に伝わってくる好著である。 文字通り動くことを最大の特徴とする動物の本質を明らかにするためには、本来の生息環境で生き生き振舞っている固体観察が必須だという。しかし、陸上の動物と比べ水生動物では、観察の困難さが災いして100年以上の研究の遅れをとって来た。 ここに登場したのが、バイオロギング科学。 すなわち、データロガーと呼ばれる動物搭載型の各種記録計を装着し、人間の視界や認識限界を超えた水生動物の生態や周辺環境を明らかにして行く分野である。 このバイオロギング科学という新しい研究分野で、近年教科書を書き換えるような新しい知見が次々と明らかになっているという。アザラシやペンギンの新たな生態が知れる また、この分野では 「事前に立てた研究目的を途中で変更せざるを得ない事態が多発し、とにかくデータを取得し、後にあれこれ眺めているうちに予想外の発見が次々に生まれる」のだという。この点に、仮説検証型の生物学との大きな違いがあり、荒削りだが力強さが感じられ、印象に残る。