「心」が支配される日

「心」が支配される日

監視カメラなどハードだけでなく、精神的にもコントロールされていく・・・

 モラル(道徳)とは、支配層が人民統治しやすいように上から押し付けで守らせるもので、民衆が自ら暗黙の了解などにより守っているルールを、コモンセンス(常識)と私は使い分け、モラルという単語自体極力使わないようにしているが、本書では正にモラルの追求がなされている。  ソ連が崩壊し、アメリカングローバリズムが席巻しだしたした頃、日本の年間自殺者数は大幅に増えて3万人越えを果たし、10年連続して今も続く。  剥き出しの資本主義の下で、多国籍企業による“銭原理主義”が唯一無二の価値観とされ、それに歯止めをかけねばならない政治も、その方向性を野放しどころか増長させ、弱者は切り捨てていく。  人間は深く物事を考える余裕を奪われ、判断基準は情緒が主となり、コーポレイトメディアとして企業の代弁が主目的のワイドショーに扇動され、似非科学や精神世界に救いを求める。  そしてそれまでもが「かならずかならず身に応ぜぬ分限を願いたまふな。 おまへの何ほどお知恵がありても、人の貧福は出生の初めより定まりたる天命なることなれば、中々知恵才覚のおよぶ所にあらず」(江戸商人家職訓) を知らず知らずに受け入れさせ、相田みつをの下手字短文のように我慢を強いる方向に誘導し、それがファシズムへ陥らせる結果へとつながっていく。 「道徳」を強いる側の、(大小問わず)企業による、偽装請負や過労(自)死・労災隠し・脱税・談合などは、枚挙に暇がない。  正に“上が儲ける為に下は文句を言わず働き、働けなくなれば世を去れ”を浮き彫りにする出来事ではないか。  うさんくさいものの真の目的に気付くための情報が詰まった良書だった。