亜愛一郎の逃亡 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)

亜愛一郎の逃亡 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)

あたたかく、幸福な大団円

◆第一話「赤島砂上」  裸体主義者クラブ(!)の集会が舞台。    トリックは、今では普通にことわざとして流通している  〈ブラウン神父〉シリーズの「アレ」が用いられます。 ◆第二話「球形の楽園」  完璧な密室状態の丸いカプセルの中に、前頭部に打撲傷、  背中に突き傷を負った男の死体が…。  強迫観念に囚われた人間の視野の狭さには、  身につまされるものがあります。 ◆第三話「歯痛の思い出」  病院での呼び出しである、  「亜さん、井伊さん、上岡菊けこ……?」  が、とにかく印象的。 ◆第四話「双頭の蛸」  北海道の湖に現れたという双頭の蛸を取材するため  駆けつけた記者が遭遇した殺人事件。  一枚の写真を見るにしても、人は自分の  「見たいもの」しか見ない、ということでしょう。 ◆第五話「飯鉢山山腹」  車体に書かれていた「ニウ島産(屋島ウニ)」の謎。 ◆第六話「赤の讃歌」  赤を基調とした絵で名を成し、  画壇のドンにまで上りつめた画家の話。  終盤、すべてが裏返され、反転していく、  逆説の論理が展開されていきます。 ◆第七話「火事酒屋」  火事が好きでたまらない酒屋の主人が遭遇した  不審火の現場から発見された他殺死体。  主人は放火と殺人、二つの容疑をかけられるのだが…。  集中の白眉。  背が低いために、消防士になれなかったという  酒屋の主人の人物像が、事件の構造と有機的に  結合しているのが、じつに秀逸。 ◆第八話「亜愛一郎の逃亡」  雪中の離れから、亜はどのようにして  足跡を残さず、忽然と姿を消したのか?  亜の正体が明らかに。  祝祭的なラストの幸福感は格別です。

≪ゃ荐篋

2007年12月28日 18時21分 / Celestial Blue asahi3.blog72.fc2.com
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