司政官全短編 (創元SF文庫 ま 1-1)

司政官全短編 (創元SF文庫 ま 1-1)

創元社に感謝、70年代日本SFの代表作再刊

近年、長谷氏がSFマガジンに書いていたように、SFとは読み手が人間である事を客観視する小説だと私も考える。 眉村 卓の司政官シリーズでは人間の作るシステムの設立と衰退について、SFというスタイルを採りながら淡々と描写している。 それぞれの短編で、読者は司政官の一人として、その時代の司政制度の要請に基づき、無力感を覚えながら、あるいは高揚感を覚えながら未知の世界を旅する事になる。 作品の世界としては、個人的には、照り返しの丘、炎と花びら、遥かなる真昼、そして遺跡の風あたりが楽しめた。 作品全体に漂うある種の虚無感が、一つ一つの短編そしてこの短編集全体に独特の静謐なトーンを与えている。静かな時を作品と共にすごしたいと考えている読者にはオススメである。 未知な世界に、訪れるという設定自体がやや古めかしい感じを作品に与えているが、 主人公の意識に流れが丁寧に描出されていること、またそれぞれの世界の社会学、政治、経済学的な設定が丁寧に形成されている結果、一つ一つの作品にrealityを与えるのに成功している事などが、この作品を経年による劣化から守っている。 現実的にココまで、SF作品が読まれない中で、絶版になっていた70年代SF作品を出版してくれた創元社には心から感謝したい。 また、読者にはこれだけの作品があっさりと絶版している出版業界の実情に、この作品を通じてきずいてもらいたい。 今回、一巻に全作品を収録する形で出版されているが、個人的には、それは成功であったと考えている。 なんといっても作品は人間の作るシステムの脆弱性、経年による劣化を普遍化し、客観視しようとしているの作品なので、その設立と衰退について俯瞰せずに作品集を閉じてしまっては、作者の意図が届けられないものになってしまうだろうからである。 SFファンの一人として、70年代日本SFの白眉、是非多くの人に手にとってもらいたいと思う。

≪ゃ荐篋

2008年08月29日 15時03分 / HANAHANA roccak.blog122.fc2.com
司政官全短編
司政官全短編 (創元SF文庫 ま 1-1)(2008/01)眉村 卓商品詳細を見るSF大会で眉村せんせいのおっかけをしましたwいや、出演されるお部屋に通っただけですけど。だってファンなんですもの。中学生くらいの時に、ショー ...