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片目のオオカミ

片目のオオカミ

目で語り合う

久しぶりに読み応えのある動物物語を読んだ。人間に傷つけられて動物園に連れてこられた孤独な片目の青いオオカミ。見えている片方の目に映るものさえ拒否しながら彼は檻の中を所在なく歩き回っている。 そんなオオカミのまえに現れたひとりの少年。彼はオオカミの心が開くまで我慢強く待ち続け、ついに自分も片目をつぶる。そしてふたりの心は通じ合い、お互いの過去を話して聞かせる。お互いの目の中に現れるそれぞれの過去。不遇な時代を持つ少年と、人間に狩られて兄弟たちとも離れ離れになった青いオオカミ。それらを共有することで、ふたりの心はしっかり結ばれるのだ。 「見たくないものは見ない」。それは檻に閉じ込められている動物だったり、開発や伐採で死につつある自然だったりするのだが、少年との友情を得て、青いオオカミは閉じていた片目を開く。 見たくなくても見なければならないものがあるとしても、そこにいくばくかの愛や友情があれば乗り越えられるのかも知れない。