人間をみつめて (神谷美恵子コレクション)

人間をみつめて (神谷美恵子コレクション)

人間を越えたもの

 著者がハンセン氏病の患者とのかかわりの中で深めてきた「生の意味」についての考察が述べられている。  人間は、肉体も思考機能も有限のものであり、自分の生きる意味、価値を自分で決めることですら、限界がある。 「仮にある人の一生が、ただ苦しみを感じるだけに終始したとしても、あるいはただ『廃人』で終わったとしても、その人の生がかけがえのないものである、という視点もありうる」と著者は言う。  その視点は「人間を越えたもの」からの眼差しであるという。  自らの限界性に気づくことは、浄土真宗における阿弥陀仏のような「他力」よりの救いをもたらすものだと考えさせられた。  現在、無力感や無価値観に悩まされている人にはぜひお勧めしたい。