東京伝説―彷徨う街の怖い話 竹書房文庫

東京伝説―彷徨う街の怖い話 竹書房文庫

わびさびなし、普段読書せずテレビばかり見ている人にお勧め

●まえふりなしでストレートな展開と生理的嫌悪感に訴える描写、極度に心配性な人が日ごろ潜在的に抱いている恐怖感を顕在化したような話ですので理屈なしで飲み込めます。複線を縦横に張り巡らして最後に炸裂させるようなストーリーが作りづらくなっているようですがこれからはこういうのが主流になってゆくのでしょうか。●一人暮らしを始める前の人が読むにはいい薬になるのではないでしょうか。●治安キャンペーンの一環のような本ですね。人を見たら泥棒と思えという警句を徹底させろということでしょうか。まあ善人が悪人から身を守るのはこういう考えでよろしいのでしょうけれど善人が善人に対して我こそは善人であると証明する手続きのハードルがますます高くなりそう。本書を真に受ける人が増えて一番損するのは悪人ではなく都会でもつながりを持ちたいまっとうな善人と善人のネットワークのような気がします。●明らかに事件として顕在化している話がありますが新聞の記事を紹介するくらいしたらどうでしょう、あそこまで実在性を強調するような書き方をしているのに卑怯です。それを出すのが嫌ならばフィクション性の兆しを文章に織り込むべきでしょう。●他人への懐疑心をもっと抱けとはっぱをかけるような話を集めておきながら自殺者3万人を前書きで嘆き悲しむあたりに偽善を感じます。平和ボケはいい加減にしてもっと世知辛くなれと警告しておきながら世知辛い世を去ろうとする人を忍びなく思うのですか。●精神異常者の話が多いですが個人的にはやっぱり一見常識的な人間が最も怖いような気がします。精神異常者は自己の精神的な闘いで自閉的な疲弊をし他社に肉体的な攻撃を仕掛ける前に斃れます。また妄想にとじこもっていて他者に無関心、これがほとんどです。これに出るような異常者は精神疾患の問題ではないでしょう、病気に罹ろうと罹るまいと彼らの攻撃性はなんら変化ないと思いますよ。