グスコーブドリの伝記 (宮沢賢治絵童話集)

グスコーブドリの伝記 (宮沢賢治絵童話集)

生きる意味

賢治は『雨ニモマケズ』で、「ソウイウモノニ ワタシハナリタイ」と述べている。褒められなくてもいい、そうではないのだ、と。作品のネタバレになってしまうので、まずは作品を読んでみたい方は飛ばしてほしいのだが・・・この作品は賢治の本質に迫る一作だと思われる。グスコーブドリが、人のために自分を犠牲にした、という点。それは他者愛の犠牲精神であろうか。それもあるかもしれない。しかし、賢治の他の作品からも判るように、彼は己の『生きた意味』を探している。多くのひとを助けた命、それはどんなにも意味のある命であろう。どんなに輝いて見えただろう。彼は憧れたのだ。グスコーブドリのように死ぬことを。自分が生きたことには意味があったのだと思えることを。みんなを救うことは、なんと判りやすい具現形であることか。グスコーブドリと同じ場面に出くわしたのであったら、賢治は喜んでその命を差し出したのだろうと思う。