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ザ・ベスト・セレクション
- テイチク
- 1996-11-21
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彼女こそ日本的ディーバのルーツ
サンバって言えば「みずいろの雨」だ(十分ツーステップ踏める!)。八神純子は「思い出は美しすぎて」もボサノバだし、基本、ラテンテイストの人だ。編曲は故・大村雅朗をはじめ、萩田光雄、戸塚修ら、いわゆるヤマハ系の人が手がけていた。今にして思えば八神純子の音ってまさに“ニューミュージック”のそれであり、そのオシャレなテイストは、その後、松田聖子なんかにも継承されていくのである。 僕自身は当時ピンと来なかったのだけど、今で言うオタクの元祖みたいな友達(アニメ&SF&特撮)には熱狂的な八神フリークが結構いた。今思えば、彼らはあの“声”にやれてていたのだ。伸びやかなハイトーンでありながら、ミストサウナのような独特な湿り気、艶もあり、しかも量感たっぷりで包み込むような母性を感じさせる声。当時は、このあまりに正統的な“声”を頭で拒んでいた気がするんだけど、今聴き返してみると生理的にかなり気持ちいい。当時のオタクの友達は、多分、パーツとして、楽器として、この“声”を楽しんでいたのだ。こう言う鑑賞法って、いまの日本的ディーバのルーツって気もする。八神純子の歌は、「みずいろの雨」の水色、「想い出のスクリーン」の赤と蒼、「パープル・タウン」の紫といった色彩と、雨、星、空、炎といった自然のディテールの組み合わせで、すごく抽象的。恋愛をテーマにしていながら、想い出とか愛とか未来といった言葉のレベルまでしかブレイクダウンしてなくて、具体性を回避している。具体性がない方が感情移入出来るっていう普遍性もあるんだろうけど、物語性(歌詞)っていうよりは、サンタナ風のギターとか、サンバホイッスルやパーカッションの耳新しい音とか、もちろんあの類まれな声、つまり、サウンドプロダクションに比重が置かれていた。それは電子的なものも含めて日本の楽器のクオリティが上がったっていう技術論、商業論とも密接な関係があったんだよね。











