あの子を探して

あの子を探して

経済発展の恩恵がこない場所

予備知識も何もまるでない状態で、何の期待もせずに見た作品。目を惹く役者がいるわけでもなく、淡々と描かれる中国の田舎の物語に、ここまで魅せられるのは、この物語が真実を描き、実際の人物を起用したところにあるだろう。貧しさゆえになおざりにされる教育の現場、経済発展を続ける中国の影と、そこに輝く小さな光を描いた秀作だ。 お金に対する執着心(...というと聞こえが悪いのであるが、現金収入の少ない中国の田舎ではわずかなお金すら死活問題なのだから当たり前だろう)が、人を動かす原動力になっている。13歳の教師代理ミンジが、少年を探すために街へ出たのも、初めは「約束された60元」を手に入れるためだったことだろう。予想外の事態から無一文で少年を探すことになったミンジと、自らを守る術もない迷子の少年の経験した世間の冷たさは、それを知った大人たちの心を動かし奇跡を呼ぶ。 ハッピーエンドだからこそ後味のいい作品だが、中国の田舎に多々あるであろう光の届くことのない教育の現場とそこにいる子どもたちを思うと「あぁ、面白かった」では終わらせることの出来ない余韻を心にのこす。