翼よ、北に

翼よ、北に

自然体

現代の飛行機旅では感じることのできない、飛行機旅行の草分けの時代ならではの旅のあれこれが記録されています。自己評価が低かったり居心地悪く感じたり(きっと私ができなかったら「女だから」と言われるだろう。まあどっちにしろ私は理系は苦手だし、専門知識も少ないし・・・)、ということもあるのですが、何というか、肩肘張って“男勝り”とか、バリバリ理知的でクールで勇ましくて・・・ではなく、“女の人のまま”冒険旅行してるのがほほえましく、好ましいと思いました。これからはこういうのがいいかも。と、同性として思いました。いえ、たしかに知的で勇気があって思い切りの良い、きっと「ただものではない」女性なのでしょう。しかし、大西洋無着陸横断飛行をしたアメリカの英雄である夫を尊敬し頼りにしつつも、「まあ、やっぱり! そう言うと思ったわ」「まったく男の人っていつもこうなんだから!つまんないわ」とか、揺れる飛行機に「なんて操縦の仕方かしら、もう二度と乗らない!!」なんて言っているのは、《英雄と、女性飛行家の草分けである妻の冒険旅行》でなくて、普通の男女というか夫婦っぽくて、かわいらしく微笑ましい。「私は現代的な女ではないのかもしれない」なんて書いてますが、どうしてどうして、現代を飛び越してオープンマインドな人である気がします。夫チャールズもできた人です。周りが「奥さん」のことを何か言っても、アン自身が自信なさげでも、妻を信頼して一人前のパートナーとして扱っている。素晴らしいですね〜。(しかしこの人たち、小さな坊やを実家かどこかへ預けて旅にでているのはすごい)極北の開拓地の暮らしや人々、日本の茶道や風俗、言葉に対する観察眼と愛情、中国の大河やパゴタへの想い・・・・・。感受性も素晴らしいし、表現力も素晴らしいです。時々はっとするような素晴らしいフレーズがありました。