全文リットン報告書

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満州事変、そして満州国を理解するために読んでおきたい

リットン調査団というと昔、どこかで見たリットン卿たちが満州事変の発端となった柳条湖を調査している写真の記憶がある。そして「リットン報告書」は満州事変を日本の侵略と断定したレポートで、日本は国際社会の非難を浴び国際連盟脱退に至ったと思ってきた。 本書は「リットン報告書」の全文である。原文(英文)も採録され、さらに渡部昇一氏の適切な解説が巻頭に付けられている。まず、意外なのは本報告書の膨大さ(本書の翻訳文で約300頁)である。そして報告書の内容も想像していたより詳細を極めている。調査団はリットン卿を団長とする英米仏独伊5カ国のメンバーで紛争の舞台である満州のほかに東京、上海、南京、揚子江沿岸、北平(北京)などを歴訪して関係者と面談を行うなど調査を実行して最終的な報告書の提出は事変約1年後の1932年9月である。 満州王朝(清帝国)の崩壊に始まるシナの内乱状況やソ連や共産主義者たちの動き、満州における日本の権益の起源や日支両国の紛争、満州国の建国などが記されていくが、内容は概ね公平で、一方的に侵略として非難するのではなく日本の立場にもかなり理解を示している。第三者の立場で書かれた当時の歴史を知るよい資料といえよう。 満州はシナではなく満州王朝の故地である。渡部氏の指摘する溥儀による満州国建国には正統性(レジティマシー)があり、当時、ジョンストンの「紫禁城の黄昏」が出版されていれば、調査団の報告も違ったのではないかという指摘には説得力がある。そして日本も国際連盟を脱退しないという選択肢も十分あったのではないかと思える。 今、「リットン報告書」の全文を読むことの意義の大きさから星4つとした。

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