ひかり
僕の手は何かを掴むには少し小さすぎた。
なにも掴むことのできない両手。
その小ささが結局どれほど手を伸ばしても
届いてはくれなかった理由になるのなら
僕はこの手を恨んで泣くことが出来たのだろうか
いつも、どんなに遠く走って追いかけても
届くことが無かった闇の中で
ただ強くいつも感じていたのは
触れた先から怠惰に蝕まれるような感触
息荒く走る吐息に混じる嗚咽に
もはや自分の感情さえ分からない
なにもかもが綯い交ぜになった涙は
頬を伝い堕ちる度に温度を失くして
それを裏切るように肺はじりじりと熱さを増していく
きっとそれに届くことは無いのだと
自分の中で諦める声を振り切ろうと走っていた筈なのに
いつの間にか闇の中で手探りに迷走しては
立ち竦んで、いつしか泣くことさえ止めてしまった。
だけど、そんな僕だからこそ
走り疲れた足を引き摺りながら今度は歩き続ける。
ねぇ、まだきっと…とどくよね?
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