嗚呼、唯一の君よ。
君を惜しむ僕の声など
知りもしないで
そっと僕の目を塞いで
自分こそが刹那の夢だとでも言うように
君は静かに笑うのだ。
もし、その手を掴んで
君を引き寄せられたなら
どんなに良かっただろう。
しかし君はそれを望まなかった。
僕は最後の最後まで
君の心に触れることすら叶わなかった。
君はいつしか消えて逝く。
それでも構わないというのは
君のエゴだ
それを分かった上で
君は笑って最期の最後まで
慈愛に満ちた笑顔を張り付けたまま
いつしか消えていく恐怖さえ
押し殺して忘れたふうに振舞う
偽りで押し込めた心で
君は逝ってしまうのか。
さようなら
そんな僕の別れの言葉にも耳を塞いで
君は別れも告げずに
静かに笑ったまま透明な瞳で僕を映し込んで
君はその人生に幕を引こうとしていた。
嗚呼、君はそうやってして
別れを告げるあわいさえ僕に与えてはくれないのか。
君は最後の最後まで僕を
傷付けようとはしなかった。
それなのに君の姿を見るたび僕は
切なく苦しめられた。
嗚呼、唯一の君よ。
君の望みは一体何なのだ。
嗚呼、唯一の君よ。
君の心は今何処にあるのだ。
嗚呼、唯一の君よ。
君の言葉はどうして、僕を慈愛に満ちて包むのだ。
聞きたいよ 君の声
近づかせて 君のそばまで
少しでいいから緊張をほぐして
偽りの笑みでなく
本当は叫びたいでしょう?
泣きたいんでしょう?
それさえも言わずに
そして君の顔も何も語らず
君の顔は笑顔に隠れたまま…
お願いだ 教えて欲しい
君が今想うことを
僕に殴ったっていい
それも君だ
偽りの笑みでなく
本当(しん)の姿を見せてくれ
少しでも、僕に…
2008年04月30日 22:14 by 光藤 雫
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