曇天
何が悲しく感じられたのだろう。
二人して泣いていた。
触れた指先から冷えていく感触
触れ合う虚しさに声も出せず抱き合った。
僕たちにはまだ正面から向き合う勇気はないから
ただ二人抱き合いお互いの表情を隠した。
僕たちはまだ強くないから
絡み合う絆を断ち切らぬようにそっと手を伸ばし
互いの手を取り合った。
つよくなるためなら感情(こころ)なんていらない。
僕たちはそう思って震える手を強く握り返した。
僕らの涙が落ちた地面は
今にも雨に濡れそうで
まさに危うい僕らのいまをあらわすかのように
空は大きく鳴っていた。
ぼんやりと悲しさが胸を貫き
心が小さくなっていきそうだったんだ
だけど…あなたが一緒に泣いてくれた
私を抱きしめてくれた
だから…私もあなたを抱きしめることが出来たんだ
空っぽな時間が怖くて
今が怖くて
あなたはこんな感情を受けとめてくれたのかな
それとも…何かが恐かったのかな
私もあなたの気持ち、せいいっぱい受けとめたい
2008年05月25日 23:26 by 光藤 雫
Copyright(c)1999 FC2, Inc. All Rights Reserved.
@fc2infoさんをフォロー