来夢
消え去ることの美しさと永久に変わらぬ愚かさを知って尚、
僕らは生きる。生き続けていく。
来夢
雲の流れを切り取って、僕はそれを彼女に渡した。
青々とした空を見て彼女は笑った。
彼女は僕よりも世界を切り取ることが上手だった。
紙に記されたもの、写し出されたものは彼女同様とても美しかった。
彼女は空が好きだった。
だから僕も空が好きだった。
写し描くのがいつも空だったのは彼女の所為だ。
今もそれはそれで良かったと思っている。
彼女はよく空になりたいと言っていた。
届かないのならせめて溶け合ってしまいたいと言った。
その意味は当時の僕にはわからなかったけれど
確かに彼女はあの時僕の知らない
空の高いところを見ることができていたに違いない。
手を伸ばして虚空を撫でるその手付きはひどく優しかった。
昨日、彼女は僕の前から居なくなった。
地に足をつけることをやめて飛び立ってしまったらしい。
嗚呼、彼女は辿り着けただろうか。空の高いところまで。
そして、飽きもせず空を写し取ることをやめない僕を
どうしようもないと笑ってくれるだろうか。
レンズ越しに見えた、空に漂う十字架のような鳥を見てただ思う。
お前は空に焦がれて翼を失ってしまったこんな僕らを赦してくれるだろうか、と。
空の蒼さに憧れて
ただふとした瞬間に
それが興ざめで
そんな日常の中で
何を 思うの
2008年12月24日 23:53 by 莢
小説を書いてみよう第二弾です。
今度は名前すら出てきませんでした;;
小説なのかも怪しい…orz
ですが、雰囲気的には気に入っています。
これでいいと満足していたりもします。
やはり文字数に縛りがあると難しいですね。
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