渦
雑踏の中、風を切り肩を怒らせながら歩いてると
懐かしい薫りが通り過ぎていった。
閉じ込めていた記憶が顔を覗かせる。
一度開いた扉はなかなか閉められず、
水が溢れてくるように思い出たちが這い出てきた。
そして私はその渦に引き込まれていく。
2009年06月20日 00:16 by 夢野蒼依
「嘘なんてついたことない」、と
いってみせてよ
私の前で
「始め」なんてあるのか??
そんなもの誰が決めたのか
目印や境界線があるわけじゃない
言葉なんてあってないようなものだろう
どこまで信じていいのか??
どこまで真実なのか
…裏切るとか約束を守るとか。
僕は知っているんだ
そんなもの
ただの気まぐれなんだって
渦の中
飲み込まれていく潮の中
僕らはちっぽけなただの「人」
本当に気まぐれなただの「生」
気が付けば引きずりこまれてる
光も差さぬ 底の底
ただ波になぶられるまま
渦紋は断絶を描いてる
中心に何が潜むのか
息詰まる悲痛の深海で
岩礁に縛り付けたなら
覚えのない罪 責め立てた
すでに抗う術は忘れて
声も届かぬ 底の底
叫びを託した泡の使者
いとも容易く昇ってく
常闇の中 浮遊感
息衝く彼こそ中心なれ
それでも虚ろく見上げてる
叫びの軌跡 その向こう
彼をここに閉じ込めた
理由の腹はどこだった?
彼をここに追いやった
連中の住処はどこだった?
掬い上げてと泡を吐く
救い上げてと弱く泣く
かつて楽園と信じてた
たったひとりの渦の中
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