熱帯夜
真夏の夜に夢を見たならばそれは酷く狂気的な妄想に似ている
星が青く燃えながら落下してゆき、月は雲を無作法に暴き凛々と金色に輝きながら、地上の憐れな死者を嘲笑うのだ
昨夜の蝉は短命を嘆き悲しみ自ら墜落死
今宵は鴉が赤い水溜まりで溺死
明日は誰ぞと、わたくしは、極彩色の血を廻らせながら眠る。
「熱帯夜」
艶やかな 色彩 オレンジとホワイトの
Highway 彩られたカクテル光線
アクセル踏んで 時を刻む
車の窓を開けて ぬるい風を浴びる
このまま僕ら どこへ行こう
広くて狭い この世界の
ただ踊るのさ 微熱の中
汗ばんで 握る手が 暑い夜に
闇に吊るされた 満月の下
黒髪に隠された その顔を見せて
CD入れて 当たり障りない詩が流れる
つられて歌った シートは窮屈で
キミは体をうねらせていた
パーキングエリアで ジュースを買おう
体を冷やしたら 眠ればいい
灰色の道は まだ続いてる
愛しているよ 微熱の中
例え 握る手が 冷たくなっても
夢にうなされて 泣いた夜は
そっと 熱に身を委ねれば良いのさ
ただ踊るのさ 微熱の中
汗ばんで 握る手が 暑い夜に
闇に吊るされた 満月の下
黒髪に隠された その顔を見せて
行方も知らない 微熱の中
寂しく口開いた トンネルを抜けて
未明の空に 右手かざした
僕らは 二人揃って 笑っていた
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