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詩人たちの独り言

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【 まどわく 】

女は窓を閉めた 日暮れの風が冷たすぎて
かすかに届いていた鳥の声はなお遠くなり
音楽にかき消され 椅子は腰掛けられ栞ははずされ
茶色く変色した頁はめくられた

窓を開けてよと少年は言った
なんだか切り離されているようだから
雲の流れも 移り変わる空の表情にも
いのちを感じることができないから

部屋の中でくらい暖かく過ごさせて
カーテンの引く音 やがて暖色が灯る
時折どこかで聞いたような声が聞こえたが
肘にキスできないよう 思い出すことはできない

窓を開けて! 少年は叫んだ
街と夜はすぐさま飲み込んだ
女は湯を沸かし注ぎ少しだけこぼした
染みにもならなかったが湯気は上った

まどろみに瞼が重くなり少年は夢の底に沈む
女は傍らに立ち毛布をかけ歌をそらんじる
そのときばかりは思い出せそうな気がした
ああ あれはなき声だ ぼくのなき声だ

目を覚ませばそこは風を受け入れる枠の中

2009年11月23日 18:50  by 

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