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詩人たちの独り言

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はるってなぁに

てふてふの落し物

しろくて うすい翅一枚

冷たい岩の その陰に

さみしく さみしく落ちてゐた



かあいそうだと 思つたけれど

どこをさがしても 持ち主はおらず

たれに訊ひても 知らなんだ

こんなに こんなに良いものを



からすは カアと 鳴きました

かえるは ゲコと 言ひました

それでもてふてふ まだ来ない

どうして どうして取りに来ぬ



日暮れてわたしは思ふたの

この翅はきつと てふてふが

さくらを知らないこの街に

ひらりと 分けてくれたのよ



そうして わたしは思ふたの

なんだかすこうし かなしいな

舞い落つるでなく ひらひらと

飛ぶそのさまを 見れたなら――



てふてふの落し物

拾い上げたわたしのてのひら

ふと ひとすじ風が吹きますと

遠く舞い上がる 白いはなびら

2010年05月04日 22:16  by 

コメント一覧 2件中、1~2件表示

  • サクラさんこんにちは。
    心打たれる返詩をありがとうございます。
    久しぶりにコミュニティを覗いてみたらこんな素敵な答えをいただいていて、やさしい感性にうっとりしました。

    2010年07月31日 21:41 by

  • てふてふさぁん

    ありがとう

    春を持ってきてくれて

    ありがとう

    あなたがふわりと落としたものは

    私の心に温かくて少し切ない空気を

    吹き込んでくれたよ

    周りが瞬く間に美しい色で満たされていく

    てふてふのように

    踊りまわって、軽やかに歩く

    咲き誇った花びらは

    きっと

    次の寂しい街に行くよ

    そしててふてふになって

    春を呼んでくれることだろう


    ______________


    詩から淡く彩られた景色がみえました。
    きっと幼い子供は喜び、少し疲れている大人は慰められたことだろうなぁ、と
    思いました。


    まだまだ詩人としては幼い私ですが、精一杯返詩させて頂きました。

    2010年05月09日 10:57 by ゆみ