極限に見た生命(いのち)の美しさ‐写真家 セバスチャン・サルガド‐
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2009年11月29日 07:22 by watasitotaiwa
こんばんは。
白黒写真の表情の豊かさには、いつも驚かされます。人の表情だけでなく、自然の表情、動きそのものの表情、心理の表情。
今日の日曜美術館は、そういった白黒写真をじっくりと撮り続けているセバスチャン・サルガドの特集でした。
第一章「sahel(大干ばつ)」では、エチオピアの難民キャンプの人々の写真。子供たちや老人など、人々の感情が豊かに撮ら れています。
第二章「worers(労働者)」では、湾岸戦争直後のクウェートで消火活動を行う「消防士」という写真が心に残りました。ル ワンダの茶畑の美しさと、家族労働の美しさにも心を打たれました。そして、その茶畑がその後内戦でなくなってしまったのも悲しか ったです。
第三章「exodus(脱出)」では、その内戦に主眼を置きます。いかな難民状態にあろうとも、人生は続いています。難民キャ ンプに腰を据え、ミシンを持ち込んで布を縫う、その逞しさを撮った写真が印象的でした。名作「カルマ・キャンプに到着した難民」 は、朝の光と大樹と難民たちが神々しいまでに撮影されています。私はこれを見てまるで宗教画のようだと思いました。ところが、こ の写真はほんのひと時の間でしか撮影できません。30分もすれば、すべてが変わってしまうのだといいます。
第四章「genesis(起源)」では、サルガドは今度は大自然や太古を撮影しています。今まで撮り続けてきた人から離れて、 地球を撮ること。シマウマたちやマウンテン・ゴリラの写真など、見飽きません。
どの写真も、サルガドは生命そのものを撮影し続けているように思えます。どんな条件化でも生きていこうとする力、存在している ことが重要であること、その強いメッセージを、今日は白黒の写真世界に強く感じました。
2009年11月29日 18:51 by Chiduru.Y.
写真は一瞬の光景を切り取る芸術です。
そのことが強く印象に残りました。
光景の描写をするにも、遠巻きに眺めていたのでは駄目で、被写体との適切な距離を取る必要があるようです。
サルガドさんが標準レンズを使うのも、自分の視覚そのもので捉えた世界を伝えたいからなのかも知れません。
サルガドさんは写真に説明はつけないらしいのですが、今回のインタビューを通して、その写真の撮られた背景や気持ちが伝わって きて、写真に秘められた深い思いがよく理解できたと思います。
不幸な状況をなんとか乗り越えて生きる過程の中に人の尊厳があることがよく伝わってきました。
都会に住む人の孤独の方が厳しい現実なのかも知れないというサルガドさんの言葉を聞くと、
私達が日常目にする光景の中にこそ、人の尊厳に溢れた光景があるような気がしました。
2009年11月29日 11:16 by watasitotaiwa
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