群鶏図のそれぞれの鳥の描写は非常に緻密です。
写真などがない時代に、動き回る鳥の一瞬を絵にするのは非常に困難なことのように思います。
相当それぞれの鳥を観察したのではないでしょうか?
番組では、それぞれの鳥が遠近感を無視して同じ大きさに描かれていることをことさらとりあげていました。
でも、描く立場から考えると、それぞれの鳥のいいとろを同じように書きたい気持ちがあると思います。
そういう人はそれぞれの鳥の大きさは考えないと思います。
鮎や蓮を一枚の絵に描いている絵もありました。
真上からの蓮。水中から見た鮎。岸部の景色。
それらをすべて一枚の絵に描くのは不自然な気もします。
でも、池のいちばんいいところを、その印象のまま描こうとすると、一つの方向から見る絵にするほうが不自然ですね。
細やかな部分を積み上げて関連つける描き方を連続していけば、自然とああいう絵になると思います。
若冲さんは見たままを素直に書ける人なのかも知れません。
トラやゾウを正確に書けないのは、実物を見たことがないからなのかも知れませんね。
2010年01月17日 18:36 by watasitotaiwa
しばらくぶりです、柚木です。
今日は若冲の傑作10選ということで、わくわくしながら観ました。
有名な「群鶏図」に始まり、「貝甲図」「鳥獣花木図屏風」「象と鯨図屏風」「池辺群虫図」「花丸図」「花蔬涅槃図」など等10 点を紹介していました。
秋に、皇室の名宝展で何点か実物を見たのですが、若冲の視点は非常にユーモアがあって楽しいものです。
「群鶏図」の13羽の鶏たちは殆ど大きさに差がない点で、奥行きがないと評されることもありますが(実際に展示会でそんなこと を言っている人がいました)、実は望遠レンズ的圧縮効果で視覚の革命を産んだのではないかという説があります。「貝甲図」は難波 の商人木村兼霞堂の援助を得て多くの貝を描ききり、「鳥獣花木図屏風」はタイル調の極めてモダンなデザインを成功させ、「花丸図 」ではありのままの自然の営みを描写し尽しました。「花蔬涅槃図」は野菜で涅槃図というあっと驚く構図でしたが、当時の天候不順 による飢饉から、保存の利く野菜を描くことで人々を救おうとしたのではないかという説もあります。
晩年の若冲は彫刻にも手を染め、「石峰寺五百羅漢」で大変寓画的な、面白い表情の仏を多く残しています。命には上も下もない、 虫けらも仏も同じである、という見方ですね。このほか、象と鯨の絵や、群虫、魚、石。多く紹介されていました。
子供のような視点で多くを描ききった天才絵師、伊藤若冲。
酒も女も京の大きな問屋の長男という身分すらも放棄してただただ絵に没頭し続けた細密の超人。市場トラブル解決に奔走したとい う一面もありますが、そこにあるものは自分の視点を素直に貫いた人の姿ではないでしょうか。
今日も、楽しく1時間を過ごしました。
2010年01月17日 11:05 by Chiduru.Y.
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