ドジな千鶴ちゃん☆ 〈1〉
私、雪村千鶴です。
今日は、委員会があって学校から帰るのが遅くなってしまった。学校を出て空を見上げるともう日はだいぶ沈んでしまっている。
いつも一緒に帰っていて、今日も傍らにいる藤堂平助君に声をかける。
「あっ、ケータイ忘れて来ちゃったみたい。多分、図書室かなぁ……?ちょっと取ってくる。先に帰ってて?」
「いや、一緒に探すよ。帰り一人じゃ危ないし、一緒に探したほうが早いだろ?」
こういう何気ない優しさが、平助君らしいと思う。
「うん、ありがとう。」
そういって二人で校舎の中に入っていく。校舎の中もだいぶ暗い。
ちょっと怖いなぁ……。
キュッと、スリッパの音が校舎の中に響く。
「俺は、奥の方探してくるよ。」
そういって平助君は、図書室の奥の方へ歩いていった。
どこに置いたっけなぁ……?
その時急に、扉が開いた。平助君は奥の方に居るし、もう人が居るような時間ではない。……ということは?
そうっと後ろを振り向くと、人影が……これって……
「きゃあっ!!」
「千鶴!?」
平助君の不安そうな声が聞こえる。
2011年04月02日 11:12 by 桜川キョオコ
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