ドジな千鶴ちゃん☆ 〈6〉
彼は、この学園の生徒会長の風間千景先輩だ。
手に持っているものを隠したような……怪しい。
「い……いや、これはだな……その……だな……」
しどろもどろになってますます怪しい。
「風間さんは何をしているんですか?」
というか、何を隠したんだろう。
「いや、現場検証だ……何でもない。それよりオマエは?」
「私は忘れ物を探しに……」
その時カチッっと音がして教室の電気が一斉についた。そして風間さんの持っているものがあらわになった。
「どうだ雪村、まだ見つからないか?」
廊下にいた土方先生が、教室に入ってくる。
「オマエは……!?こんな所で何してるんだ?」
土方先生が風間さんに問いかける。
「いや……何でもない」
しかしその手に握られているのは、誰かの体操服と荷物だった。筆箱、体操服、教科書などだ……しかも筆箱は見覚えのある、いや ……見慣れているものだ。
「風間さん……?それは誰の荷物ですか?」
顔がひきつるのを感じながら、風間さんに詰め寄る。
「いや……これは、だな。……アレだよ、アレ!!私物だ!!」
「はぁ……私物ねぇ……?その体操服の名前を見せてくださいよ」
風間さんの手から強引に、奪うように体操服を取る。
「ゆ・き・む・ら・ち・づ・る。そう書いてありますが?」
2011年04月02日 11:20 by 桜川キョオコ
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