数学的な話
このコミュに物書きのプロ、あるいはプロ志望の方がどれだけいるかわかりませんが、上からの企画書的なお題を出そうと思います。
テーマはズバリ“数学”です。
最近数学がブームなので…。
数字や図形が出てきたり、公式を例えたり、数学者などなど、とにかく数学の話題が出てくればなんでも結構です。
編集部をうならせましょう!
2008年03月22日 11:26 by そこでねこが
「ここに三枚カードがある」
薄汚れたマントで身体を覆い隠した男は、机の上の三枚のカードを指差す。
赤黒い地に、目を光らせたコウモリの絵が描かれている。
「このうち二枚はハズレ、一枚はアタリ。外れたら、お前の魂を頂く」
男は死神らしい。
「なら、僕はどのカードも選ばない」
男は目を見開いた。そしてマントから手を伸ばし、僕の頭を鷲づかみにして問いかけてきた。
「何故だ?」
うっわ、マジ怖ぇんだけどこいつ。さっきと声違うじゃん。マントの中で目ぇ真っ赤で光ってるし。チョー怖ぇーー!
「僕が死神だったら、カードを全てハズレにするから。それにこの場合、死ぬ確立が三分の二だ。本当の死ぬ確立は違う」
男は僕の頭から手を離してくれた。
「では、本当の死の確立は?」
「100%だ。人間は遅かれ早かれ、100%死ぬ」
男は笑い出した。高い声。耳が壊れそうになる。
「貴様の様なやつは、しばらく生かしておいてやろう。またいつか来るからな」
そう言い終わると男は姿を消した。
さて、もうしばらく生きようか。
(2/2)
「重要なのは先生が最も支持されたということですよ。」
「でも候補は私を含めて計4人。当選した私の獲得率がギリギリの26%だった。有効票が82%(132万4千人)だったから つまり98万人近くの意見が通らなかったことになる。」
「先生、弱気にならないでくださいよ。投票前は圧倒的不利って言われてたのに、先生はすごい追い上げをしてこうして勝ったじ ゃないですか。」
「うん、でも日本ではアンダードッグ効果ってのが強いいだろう?」
「事前のマスコミの情報に流されて不利だと報道された方に票が動くというやつですか?」
「つまり私の票の中にはあの人かわいそうだから入れてあーげよっという気楽なのも含まれているんだよ。そういえばYouTu beで私の顔で遊んだ動画も流行ってたから、そのお遊びの票もあっただろうな。ははは…。」
「先生っ。しっかりしてください。」
「だって私は30万人やそこらの票で県民500万人の生活を支えることになったんだよ。」
「だったらこれからがんばればいいじゃないですか!何年後かになって県民誰もが、ああ、あの時猿渡先生が当選して良かったな と思えるように!!」
「でも、もし県政に失敗しちゃったらみんなは…」
「投票しただけにvote(暴徒)と化すでしょう。」
「そうか、ならvote(ぼーっと)してらんないなっ。」
ひょ―――っひょっひょっひょう!!
2008年03月28日 09:51 by そこでねこが
(1/2)
県知事選翌日のこと。
秘書は事務室に入るなり言った。
「おはようございます、せんせ…、いえ知事。」
すると猿渡は言った。
「そのことなんだがね秘書くん。昨日僕は知事に当選したよね?」
「もちろんですよ。まさか夢だとお思いですか?」
「いや、そうじゃないんだ。ただ昨日の投票率は知っているかね?」
「47%だったそうですね。」
「ところでここQ県の人口は約500万人。そのうち有権者は70%、つまり投票権があったのは350万人。」
「はあ。」
「てことは投票したのはたった165万5千人。特に選挙争点もなくて世間の関心は低かったんだろうな。今や期日前や海外から でも投票できる時代だというのにね。市長選とかならとにかく知事選で47%って。」
「今や投票率は国政選挙でさえ低いですよ。」
「昨日の天気はときどき雨だったよな?」
「それが何か?」
「この天気のときが一番投票率が高いんだよ。快晴ならみんな遠出するし、どしゃ降りなら投票所へ行きたがらないからね。つま りその47%の中には特に行くとこないから選挙でも行くかーってのも含まれる。他の天気であれば投票率は2,3ポイントは下がっ ていただろうね。」
2008年03月28日 09:50 by そこでねこが
○石瀬醒さん
手品とかの類って好きです。
この店長の大人気ないキャラクターもいいですね(笑)。
「顔を真っ赤にして震え」ながら捨て台詞を吐くところも。
そしてクールに立ち去る主人公も(笑)。
そして主人公に言いたいのはまずは給与明細を見ろ(笑)。
2008年03月26日 13:04 by そこでねこが
エピローグ
さて、倉庫を出て封筒を開けてみると1万円が入っていた。
・・・ということは、もう一方の封筒には5千円か2万円・・・
期待値は・・・
考えるのは止めておこう。
2008年03月26日 11:58 by 石瀬醒
バイト先のコンビニの親父は、元手品師だったとか数学教師だったとかで、とにかく胡散臭い雰囲気の男だった。
「さて、今日は倉庫の大掃除ご苦労さん。」
一息ついている俺の所に、ニヤニヤ笑いながらやってきた。
エプロンのポケットから2枚の封筒を取り出す。
「今日は時給のほかにボーナスを出すよ。
この2枚の袋のどちらか一つを選びなさい」
俺はとりあえず前の方の一枚を取った。
「ヒント、一方には他方の2倍の金額が入っています」
さらにニヤニヤ笑い。
「そっすか」
俺は封筒をポケットに仕舞おうとした。
「待って、待って待って待って」
慌てる親父。
「今ならこっちのと取り替えてもいいよ?」
「や、別にいいっす」
仕事が終わったのなら親父に付き合う時間が何よりも無駄と思える俺は、さっさと会話を終わらせたかった。
それに、何の情報も無いのにどっちがいいかなんて迷っても無意味だ。
「あのね、仮に君の封筒に1万円入ってるとして考えてごらん」
親父はめげずにさらに言いつのる。
「その場合、こっちの封筒には5千円かあるいは2万円が入っている事になるよね?」
「はあ」
「封筒を取り替える時の期待値を計算してごらん。
5千円が入っていて今より-5000になる確率が1/2、2万円入っていて今より+10000の確率が1/2。
-5000X0.5+10000X0.5=2500
どうだい?取り替えた時の期待値はプラスだよ?取り替えた方がいいんじゃないか?」
俺は鼻を鳴らした。
「どっちかに1万、もう一方に2万入ってると仮定してみてくださいよ。
俺が持ってるほうが1万の確率は1/2で、取り替えたら+10000。
俺が持ってるのが2万の確率も1/2で、その時は取り替えたら-10000。
10000X0.5+(-10000X0.5)=0
取り替えようが取り替えまいが期待値は変わらないみたいっすね」
親父は、顔を真っ赤にして震えていた。
「だったら、俺の論法の何処がおかしいか指摘してみろよ!」
叫び声を背中に聞き流し、俺は倉庫を出た。
2008年03月26日 11:28 by 石瀬醒
もちろんそのツッコミについては承知していました。
ただ刑事モノ的な流れを優先してああしてしまいました。
時限装置の仕掛けを工夫して問題の意図に沿わせることもできましたが、頭でっかちな話になってしまうのでw。
2008年03月26日 09:06 by そこでねこが
くじが10000本あるときを考えると納得いきます。
10000本のくじのうち一本の当たりを引き当てる確立は非常に低いです。
当たりを知っている人間が、自分の引いたくじと、残りのうち1本を残して9998本を捨てたとしたら、除かれた1本が当たり だと考えていいでしょう。
つまり、瀬戸が赤ではなくて黄色をダミーと教えたことに、意味があると言うことです。
…しかし、このケースでは、瀬戸は黄色以外切れなかったのですよね?(赤は正解だが、青は切った途端に爆発する)
これは「正解を知るものが、選択者の引いたくじと残りのうち1本を除いたくじを捨てる」場合と、少し違うような気がします。
くじが10000本あり、その内1本が当たり、1本が毒、残り9998本がダミーのとき、自分の引いたくじと、残りのうち1 本を残してダミーが捨てられたとしたら、「どちらが正解でどちらが毒か」という選択で残ったくじの方が正解である確率が高いと思 いますか?
いじわるツッコミでしたw
2008年03月26日 07:23 by 石瀬醒
(3/3)
〜解説〜
仮に選択肢をA、B、Cのワイングラスとする。
そして確率を100mlのワインに例える。
よって最初の選択の際は、3つとも平等だから、確率はどれも33%、グラスの中には33mlずつ注がれている(わかりやすく 小数点以下四捨五入)。
最初にAを選んだ時点を考えてみる。
このときグラスを左右二極に分けてみると、左側はAのみ、右側はBとCの二つになる。
つまりワインは左側に計33ml、右側に計67mlある。
そして出題者はCはハズレだと教えてくれた(もちろん彼は嘘をつかないものとする)。
するとこの瞬間Cは正解である確率が0%になったことになる。
つまりCのワインは0mlになる。
でも右側にはワインが合計67mlあるべき。
つまりCがハズレと教えてもらった時点で、CのワインはBの中に移動することになる。
結果Bのグラスの中は67mlにまで増えている。
当然Aは33mlのまま。
よって選択者は33%であるAから67%であるBに変更した方が確率は圧倒的に上がることになるのよ・・・ってさっきからも うっ、変なとこ触ってないで私の話を聞いてますかっ、先輩!!////
解説はこれでいいハズです(最後以外)。
2008年03月26日 02:00 by そこでねこが
(2/3)
そのとき瀬戸が血だらけの口を開きながら言った。
「若い兄ちゃん…。今何色を切ろうと思ってるんだい?」
「い、一応青に手をかけているが…。」
僕は馬鹿正直に答えてしまった。
すると瀬戸は奇妙なことをつぶやいた。
「ヒヒヒ…。少しだけチャンスをやるよ。」
言い終わるやいなや瀬戸は丹波先輩を振り払い、時限装置に手を伸ばした!!
パァァンッ!!
丹波先輩は瀬戸の腹を撃った。
だが瀬戸の手はすでに黄色のコードを切っていた。
「黄色は全くのダミーだ…。俺が教えてやるのはここまでだ。そう、ここまで…。青のままか、それとも赤に変更するか、お前が 決めな。なぜなら世の中は全て1/2だからだ。生きるか死ぬか、善か悪か、…そして普通の家に生まれるかクソ貧乏な家に生まれる か……。」
瀬戸は絶命した。
丹波先輩はつぶやいた。
「違うぞ、瀬戸。希望はあきらめて捨てない限り、大きくなるんだ。鍋島っ、時間は?!」
僕ははっとして確認した。
「あっ、あとっ、10秒です!!」
「鍋島っ、赤を切れっ。赤の方だ!!」
僕はわけがわからなくなった。
「えっ?えっ?どうして??」
「早く赤を切れーーー!!!!」
新人時代からさんざん聞かされた丹波先輩の怒声。
ラスト1秒。
僕は言われるがまま赤のコードを切った!
ラスト1秒。
ラスト1秒。
時計は1秒を指したまま。
どうやら時限装置は止まったみたいだ。
残されていた赤と青。
確率は5分5分。
でもあのとき丹波先輩が赤を切れと言ったから助かったのだ。
「これも長年の刑事のカンってやつですか?」
僕は尊敬の眼差しで聞いた。
すると丹波先輩は苦笑した。
「いや、赤にした方が確率が高かったからさ。」
* * *
これは立派な数学の問題です。
要点はこう。
A、B、C、3つの選択肢の中に一つだけ正解がある。
太郎君は仮にAを選ぶ。
Bが正解だと知っている花子さんがCはハズレだと教えてあげる。
このとき太郎君はAからBに変更すると、なぜ確率はあがるのか?
次の書き込みでこの問題の解説を書きます。
でもできればまずはじっくり考えてみてください。
解けたら本当に天才だと言えると思います。
僕は感動すら覚えました。
2008年03月26日 01:59 by そこでねこが
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