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迷路・鍵・雨(お題小説)

三つのお題、第三弾!!


ここでは、お題として出した三つの言葉を全て文章の中に組み込んで、小説っぽいものを書いてみてください。

お題
・迷路
・鍵(カギ)
・雨


長さは自由です。常識の範囲内で(笑)

それから、3つの言葉を使う順番は、問いません。
あと、例えば、「合鍵」「雨水」等でも、お題消化ということで〜。


一人、何回書き込んでもオッケー♪
他の人が書いたものに対する感想の書き込みも、ご自由にお願いします!


2007年11月09日 11:26  by もみじ

コメント一覧 25件中、1~10件表示

  • 『カサない人たち』

    ♪都会では自殺する若者が増えている
     今朝来た新聞の片隅に書いていた
     だけども問題は今日の雨 傘がない

    「古い歌を歌ってるね。」
    窓辺から振り返ると、彼は靴を脱いでいた。
    「やだ、帰ってたの。階段上がる音全然聞こえなかった。」
    彼は帰って休むでもなく、大きなスポーツバッグの中身を確認し始めた。
    「あ、ねえ。もう半年も餌付けしてたあの猫、昨日から来ないの。あたし、探してみようかな。」
    彼はぱたぱたと部屋の物をつめていた。
    「猫にとってはどこも自分の庭かもしれないけど、人間には路地裏一つが迷路だよ。見つけようと思うなんて無理だよ。じゃ。」
    そう言って、彼は少ししか荷物の入っていないバッグを担いだ。
    「あっ、あ、また出かけるの? いつ帰るの? なら鍵も。」
    「鍵はもういいよ。あと残ってる俺の物は全部捨てといていいから。」
    彼はドアを優しく閉めてリズムよく階段を下りていった。

    ♪行かなくちゃ 君に逢いに行かなくちゃ
     君の町に行かなくちゃ 雨にぬれ
     冷たい雨が 今日は心に浸みる
     君の事以外は 考えられなくなる

    夕食もそこそこに、あたしは外を眺めながら歌を歌っていた。
    突如玄関のピンポンが鳴った。
    あたしはあわてて出た。
    そこには背広を着た男が立っていた。
    「JASRACの者です。困るんだよね〜、こーゆーの。」

    ・・・それはいい事だろ?

    2007年11月21日 00:08 by そこでねこが

  • 雨が降っていた。もうずいぶんと長い間雨宿りをしている気がする。

    いつ、上がるのだろうか?
    見上げた空はぐるぐるぐるぐる渦巻いて、私の心中を映し出しているようだ。まるで出口を見失った迷路のように……。

    一度上げた視線をまた下ろし、雨粒が地上に落下して、アスファルトの上で跳ね上がるのを見ていた。
    じっと見ていると、落ちてくる角度の加減か雨粒の大きさが違うのか、しっかり跳ね上がる粒もあれば、べちゃりと地面にはりつ くように落ちる粒もある。

    なぜ人と言うものは、雨の落ち方一つにも、もの悲しくなれるのだろう?


    地面をさまよう私の視界に、あわただしく乱入してくる薄汚れてくたびれたスニーカー。ああ、と目をつむる。
    頭上から雨垂れとは違う雫と一緒に、熱のこもった小さな声が落ちてきた。

    「ごめん……」

    何がごめんなのか、きっとわかってないんだろう。それをまた蒸し返し、詰問するのにも疲れた。

    黙り込んだままの私の左手を捕まえた手は、私が投げつけて出てきた鍵をもう一度握らせる。
    私がされるがままに握っていることを確認してから左手を解放し、今度は右手を捕まえる。
    繋がれた右手を引かれるままに、来る時には走っていた道を戻る。

    「風邪ひくやんか」

    水も滴るイイ男に言われたその一言で、もう少し一緒にいてみようかと思ってみたから。

    2007年11月18日 23:30 by てふてふ

  • 『真っ暗な通り穴』

    「あたし、通り雨に遭っちゃったみたい。」
    女は上目遣いで言った。
    だけど僕は突如現れたその女の名前も素性も知らない。
    そして確かに女は濡れていた。

    女が何を求めているのか、どうすればいいのか、僕は自信を持つことができなかった。
    「ね、いいでしょ? 中に入れてよ。」
    女の視線がじっと僕に向けられていたのはわかっていたが、それでもこの言葉を受け、僕は一瞬鍵穴に目を滑らせてしまった。
    女はそれを察したか、くすりと口元が緩んだように見えた。
    「いつまでもこんなカッコじゃあたし、寒いんだけど。」

    女は僕の手首を掴みぐいと誘導した。
    もうどうにでもなれと思った。
    真っ暗な迷路を手探りで進むように、僕はおそるおそる手を伸ばしていった。
    女はにっこり笑って、そうそうと言った。

    名前も素性も知らない出会ったばかりの二人。
    だけど、このとき僕らはつぶさに互いの名刺を交換し合っていた。

    2007年11月18日 22:54 by そこでねこが

  • 巨大迷路でマジで迷ってしまった。馬っ鹿みたい・・・馬鹿みたい?違う。私は、正真正銘の馬鹿じゃない。
    「嗚呼・・・もぉ・・・お腹減った・・・」
    流石に疲れてうな垂れた。足元に鍵が落ちているのが見えた。
    「何これ・・・?」
    鍵。どこからどう見ても、鍵。
    私は鍵穴を探した。迷路なんかそっちのけで。
    「あっ・・・た」
    鍵穴を見つけた。扉じゃなく、普通の壁にただくっついていた。
    私は、手に持っていた鍵を差し込んだ。
    がちゃり
    ・・・あれ?なにも起こらない!?いや、ココはなんか起こるトコでしょう!?
    「期待はずれか!」と叫んだ直後。
    アメが降ってきた。それも、飴の雨が。
    口の中が寂しかったものだから、私はそれを口に放り込んだ。
    「あまー・・・い」
    あ。思い出した・・・
    迷路って、壁伝いに歩けば出れるんだっけ。
    今なら、出られそうな気がする。
    「よし!」ポケットに飴を持って、私は再び歩き出した。

    2007年11月18日 18:19 by

  • 『蛇の胃袋』

    砲弾の音が間断なく響き渡る。
    塹壕の底には連日のように降り注ぐ雨が溜まり、もう膝まで泥水に浸かっている状態だ。
    チフスや赤痢、水虫が蔓延していて、凍傷にかかる者も出始めた。
    だが僕らはここから這い出る事は出来ない。
    塹壕から少しでも顔を出せば機関銃や狙撃銃により頭をぶち抜かれるからだ。
    僕らに出来るのはダンゴムシのようにただ塹壕に籠もる事。

    相手の背後へ回り込むため、塹壕を掘り進める競争だけが今日も両軍の間で行われている。

    不意に僕の隣りで横になっている友が力なく語りかけてきた。
    「なあ、君にこれをあげるよ。」
    渡されたのは何度も話に聞いた彼のバイクの鍵だった。
    「親父はエンジンが付いた物には乗らないしさ、弟は四歳でまだ早い。だから君に。」
    彼は言葉を続けた。
    「俺、もうバイク乗れないと思うから。」
    僕は咄嗟に彼の足を見て、そのブーツの中を想像してしまった。

    僕や友や多くの若者の運命を飲み込んでいるこの黒い迷路は、西へ東へ延長を続け、その複雑さは果てが見えない。



    あと『論誤』で訂正です。
    ○濡人悪所→濡所人悪
    ○其意思所学→其意所思学

    2007年11月17日 23:43 by そこでねこが

  • 雨の日の住宅街は迷路のよう。
    「くそっ,鍵なくした・・・。」
    僕は走り続けていた。
    「・・・どこで落としたんだ?何で気がつかなかったんだよぅ。」
    半分泣きそうになりながら,ほとんど希望を失ってただただ走る。もう何が何だか分からない。
    傘は置いてきた。そんなに雨は強くならないと思ったし,探すのに邪魔になりそうだったから。でもそれが裏目に出た。
    服も靴もぐっしょりと濡れ,身体全体が重くて上手く走れない。
    「ったく。どこにあるんだよ。もう・・・うあああああ。」
    もうかなり来た。足が痛い。頭の中がぼうっと熱くなった。
    その時だった。聴き慣れた曲・・・携帯電話の着信音だった。
    僕は怒ったように電話にでた。電話の相手は姉だった。
    「・・・あ,もしもし。わたし。ねえ,あんた鍵持って行くの忘れたでしょ。玄関にあったわよ。」
    僕の中に響き渡った声が何を言っているのか一瞬訳が分からなかった。
    少したって,やっとその言葉の意味が分かった。
    僕は見えるはずのない太陽を睨みつけた。雨は当分止みそうもない。

    2007年11月17日 22:03 by

  • 本当は、皆さんの作品にコメントを、と思ったのですが、作品数が多すぎてやる気をなくしました……。
    トピック主なのに、すみません……。

    やっぱ、こまめに書かなきゃダメだな〜。
    何事もこつこつが苦手な、自分です(苦笑)


    今回のお題は、いろいろな取り方のできる言葉を入れよう、というコンセプトのもと決めました。
    前回、予想を裏切る使い方をしてくれた方がいたので、味をしめて(笑)


    でもやっぱり、作品には、その人となりが表れますねえ。
    楽しませて頂きました〜(笑)


    2007年11月17日 21:51 by もみじ

  • (2)


    あれから時は過ぎ、彼女も僕も、大人になった。
    僕たちは、今でもときどき、こうやって二人で会って、とりとめもない話をする。
    お互い、いろいろと大事なものが増えて、別の世界を生きるようになった。

    「迷路? ……ああ、確かにそんなこと言ったかも」
    懐かしい、と彼女はくすくすと笑った。

    「あれはねえ。あの頃、私、迷路が好きだったの」
    それは知っている。
    彼女は、大人が買うようなクイズの雑誌をいつも持ち歩いていた。
    そして、暇を見つけては、鉛筆をもてあそびながら難しい顔をしていた。

    ……そう、いつだって、彼女は難しい顔をしていたんだ。

    「迷路って、スタートからゴールまで行ける、正しい道が一本だけあるじゃない? で、それ以外の道は全部、行き止まりになっ てる。私は、その正しい道が好きだったの。それを見つけるためだけに、迷路に没頭した。……少なくとも、あの頃のわたしは、頑張 って、そう、思い込もうとした。でも……、でもね、本当は、どうしようもなく行き止まりに、心惹かれてたんだ」

    「たくさんの、間違っている道。そこにとらわれる自分を、甘く空想した。だって、正しい道を通ったら、また次があるんだもの 。また次の迷路で、私はまた、ただ一つの正しい道を見つけなければいけない。それを見つけたら、また次」

    「君は、迷路みたいだった。正しい道も、間違った道も、どちらも君の中に確かに存在していて、そのくせ、君は人懐っこい顔で 私に笑いかける。あの頃の君は世界を内包していた。私には、それが確かに感じられた。……でも、私はどう頑張っても、迷路を解く 側のつまらない人間にしかなれなかったの」




    彼女は明るく笑った。
    ビニール傘を通して見る空は、どこか期待に満ちていた。

    「でも、今の君は鍵みたいだわ。うん、鍵!」
    彼女は、さも楽しいことを思いついたかのように、弾んだ声を出した。



    どうして、と訝しがる僕に、彼女は耳元でそっと、その心を囁いた。
    くすくす笑う彼女に、僕は……ただただ、赤面するしかなかった。



    2007年11月17日 21:38 by もみじ

  • (1)


    雨が、降る。
    僕は傘を差し、しばし空想に沈む。

    隣を歩く彼女が、あの時、僕にいった言葉。
    その意味が、大人になった今でも、僕には分からないんだ。


    「君は、迷路みたいね」
    それこそ迷路みたいな裏道を、彼女の後をついて歩く。
    小走りで一生懸命な僕を振り返って、彼女は猫みたいに笑った。

    「迷路みたい」
    再び前を向き、歌うように繰り返す。

    僕たちは子供だった。
    彼女は僕よりは大人だったけれど、でもやっぱり子供だった。
    二人合わせても、世界を突き破ることなんて、できなかったんだ。

    「……じゃあ、××ちゃんは?」
    僕の上ずった声は、高い塀のさらに上の曇り空に吸い込まれた。
    遠くで、雷。
    二人分の足音は、僕たちの意思とは無関係なところで鳴っている。

    「私は……私よ。ただの、子供だわ」
    彼女は空を仰ぎ見た。
    僕もつられて、上を見る。

    鼻の頭にぽつんと、雨粒。

    僕はリュックから、いそいそと母親の折り畳み傘を取り出す。
    彼女に追いつき、差し出すと、彼女は驚き、そして泣きそうに笑った。

    「ほんと……そういうところが」

    彼女は折り畳み傘を開き、僕たちは二人並んで歩いた。
    雨音は、柔らかく、僕たちを包んだ。



    2007年11月17日 21:36 by もみじ

  •  「君の、その人生を迷路に喩えるのは、どうかと思うね」
    柾木が言う
    「迷宮ならともかく迷路と言うのは楽観的に過ぎないか?」
    「その2つがどう違うっていうんだい?」
    「迷宮は『迷宮入り』という言い回しからも、出口が無いと言う意味にも使われるけれど、迷路は必ず正解の経路があるのが前提 だろ?」
    「まあ、そうだね」
    「止まない雨は無い、とか、正しい鍵を見つけさえすればどんな扉でも開く、とか、何の根拠も無い楽観論は僕は嫌いだね」
    「鍵云々はともかく、止まない雨は無いというのは一応真実なんじゃないかな?」
    「まあ、地球自体永遠には存在しないだろうからね。でも、人間にとって意味のある言葉にするためには、『どんな雨も君が死ぬ より早く止む』でないといけないと思うね。そして、それは真実じゃない」
    「何が言いたいんだい?」
    「誰しも、自分の努力や忍耐に関わりなく、惨めに人生を終える可能性はある、ということさ。
    正しい道は見つからないかもしれない。雨は死ぬまで止まないかもしれない。扉はどうしても開かないかもしれない」
    「徹底的に悲観的になれと言ってるのかい?」
    「いや、絶望も視野に入れておけ、と言ってるのさ。何もかも失って終わる人生というイメージを、ダモクレスの剣のように常に 頭上にぶら下げておけ、と」
    「挫折らしい挫折を味わってないはずの君の口から出る言葉とは思えないな」
    「僕がうまくやってこれたのは、こういう周到さのおかげだ。何もかも想定に入れておかねばならない、どんな状況になっても、 冷静さと目的意識を失ってはならないと思っているのさ」
    「じゃあ聞くけど、自分が決定的に絶望的な状況にあるとわかったとき、想定していた君に、一体何が出来るんだい?君の言う絶 望的状況と言うのは、本当になんの希望も見出せない、いわば死の瞬間のような時なんだろう?」
    「そうだ」
    「例えば、目の前で悪漢に毒を注射されて、それが心臓まで回るのを待っている瞬間、君に何が出来ると言うんだい?」
    「笑えるさ。それが大切なんだ」

    2007年11月14日 18:01 by 石瀬醒

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