始め・終わり指定作文。
実験的トピック、その2。
最初の一文と最後の一文を指定するので、間を埋めて下さい。
(最初)近所のコンビニで、彼女と偶然会った。
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(最後)涙があふれた。
こちらも、いちおう字数制限をかけます。
1000字以内を目標に、ということで。
バラエティ豊かな作品が集まるといいな。
2008年02月26日 00:40 by もみじ
近所のコンビニで、彼女と偶然会った。
「ナナちゃん…。」
僕は思わず口に出してしまった。
姿はもうすっかり変わってしまったが、間違うはずもない。
彼女はまだあのときの輝きを失っていなかったのだから。
僕は生唾を飲み込んでしまった。
思えば小心者で弱気な僕は遠くから彼女を見つめるだけだった。
周りの男達は次々と彼女に近づいていき、話しかけたり触れたり肩を抱いたりしていた。
正直そうやって彼女と仲良くなれるみんながうらやましかった。
そんなことを思い出しているうちにふと、いい香りが僕の鼻腔をくすぐった。
それはあの日から変わらないナナちゃんの香り…。
その瞬間僕はもうがまんができなくなった!
息を震わせ、闘牛のようにナナちゃんに襲いかかった。
あのときナナちゃんの乳を触れなかった青春の悔しさはあらぬ方向に暴発し、僕はいきなり彼女のまんをつかみ両手でもみほぐし た。
もみもみもみ!
うっひー、ナナちゃん!!
もみもみもみ!
いいよー、ナナちゃん!!
それはとても柔らかくて温かかった。
大好きだっ、ナナちゃん!!!
すぐに店員が駆け寄ってきた。
「お客さん、やめてください!!」
近くにいた客のおっさんも僕を制止しようとする。
「君ぃっ、やめたまえ!!」
だが僕は彼らを振り払うと、一気にナナちゃんにかみついた!
がぷぅー!
首の筋力を使って皮を食いちぎってやった。
すると肉汁が飛び出し、口内にはいっせいにうま味が広がった。
これが夢にまで見たナナちゃんの味!
やっぱりだ!
ナナちゃんってとってもおいしー!!
ものの数十秒で僕の食事は終わった。
口のまわりや服はもう、べとべとになっていた。
「あ〜あお客さん、お金払ってから外で食べてくださいよ…。」
店員があきれ気味に言った。
それも当然だ。
全国畜産品評会で入選した牛肉のみを使用した高級牛そぼろ肉まんを勝手に食べてしまったのだから。
僕は店員に謝り、お金を払ってコンビニを後にした。
でも西の横綱だったナナちゃん、あんなにおいしい肉まんに加工してもらってよかったね。
涙があふれた。
2008年03月26日 13:36 by そこでねこが
○尾道水道さん
そうですよね、ハッピーエンドって少なかったですよね。
そういう大局的な視点ってとても大事だと思います。
そしてこちらこそ悪ふざけな作品にコメントを寄せていただいてありがとうございます。
彼女、純情で一途ですねえ。
自分をストーカーにたとえたのはやはり照れ隠しのジョークってやつでしょうか?
さわやかな笑いを誘ってくれます(笑)。
多分その一連の、今まで言いたかった言葉を全て言い切った後にやっと彼女はまばたきをすることができて、それで浮かべられて いた涙はとたんにあふれたんでしょうね。
お幸せに!
>彼女が店員で僕が客。レジカウンターで二人、向き合っている。
この無機質な文章に見事彼の気まずさが集約されていて、うまいと思いました。
その場の絵が想像できます(笑)。
尾道水道さんが2本も書き込んでくださり、またやる気も湧いてきたので僕もハッピーな話を考えようか…。
2008年03月26日 01:49 by そこでねこが
近所のコンビニで、偶然彼女に出会った。
彼女が店員で僕が客。レジカウンターで二人、向き合っている。
気まずい、と思った。僕は彼女に会いたくなかった。
だけど、そう思ったのは僕だけのようで、彼女は平然と話しかけてきた。
「久しぶりだね。高校卒業してからだから、3ヶ月ぶりくらいかな」
「うん、そうだね。ここでバイトしてたんだ」
僕は平静を努めていたけど、顔にはどう出ていることだろう。
彼女の手元には僕が買うはずの雑誌が置かれたままだ。
本来なら彼女は会計の作業を開始しなければならないはずだが、続ける。
「大学はどう?」
「普通。今のところ何もないよ。そっちの専門学校はどう?」
「私は楽しいかな。好きなことやってるし」
そうか、頑張っているんだ。大学生活開始早々だらだらしてる僕とは違うな。
高校が同じだっただけで、彼女は僕とは違う世界の女の子だったんだ。そう思えば楽だ。
それより、さっさと会計を済まして欲しい。早く立ち去りたい。
そんなことを思っていたら、彼女は言った。
僕が触れられたくないことを。
「そうそう、卒業式の日に、私のこと呼び出したよね」
あの時の情景が鮮明に思い出され、胸が強烈に痛みだす。
卒業式の日、告白するために彼女を呼び出し―――待ちぼうけ。
泣きながら終わった高校生活。あれから、まだ半年も経ってない。
だから僕は気持ちの整理がつくまで、彼女には会いたくなかった。
「気にすんなよ。もう終わったことだしさ」
気にしてるのは僕だけだ。彼女が気にするはずがない。
そう思っていたのだが、違った。彼女は言った。
「違うの。私、行かなかったんじゃないの」
「へ?」
「行けなかったの」
「どういうこと?」
「部活の後輩に捕まって、遅れたの。私が行ったときには、もう君はいなかった」
「……そうだったんだ」
唖然とする僕を見つめながら、彼女は続けた。
「私のこと呼び出してくれて、とってもうれしかったんだよ」
顔を真っ赤にしながら、続けた。
「だって、私も君に言いたいことがあったから」
目には涙を浮かべていた。
「君のこと好きです。実はね、君の家の近くで働いていたら、いつか会えるかもしれないと思って、ここで働いていたの。ちょっ とストーカー入ってるかな?」
最後にそう言った。
涙があふれた。
ねこさん、石瀬さん。駄文にレス、ありがとうございます。
ハッピーエンドが少ないようなので書いたんですけど。けど。
初稿が余裕の1000字オーバー。縮めてやっと。
なんてコッタイ!長い! そして、超展開。
良ければ読んで下さいまし。
ねこさん。
女子は見せたくない。男子は見たくない。暗黙の合意ですよね。
現場を見たら本当に涙があふれそうです。
尾道水道さん、人間のセリフを()の中でくぐもった感じに、猫のニャーを地の文で高らかに書き分ける技が冴えてますね。
そこでねこがさん
うんうん。
これこれ。
真実を脇から攻める、ねこがさんらしい作品ですねぇ。
2008年03月25日 14:06 by 石瀬醒
近所のコンビニで、彼女と偶然会った。
ちょうど僕は衣々子の家に向かう途中に立ち寄ろうと思って入ったところだった。
約束の時間よりかなり早く来ていたせいか彼女は狼狽して驚いていた。
「お、偶然。僕が好きな牛乳プリンでも買ってくれたの?」
僕が袋をのぞこうとすると、彼女はとっさに後ろ手に隠し、
「ちょっっ、来るの早すぎるよっ!!」
と言って走り去ってしまった。
袋の中にちらっと見えたのは間違いなく男性用のヒゲソリ・・・。
僕は公園のベンチで呆然としていた。
なぜ衣々子はあんな物を?
彼女は実家暮らしではないし、僕への誕生日プレゼントとも思えない。
そのとき僕の脳裏に黒いものがよぎった。
まさか彼女は自殺を図っていたのか?!
あれで手首を切って楽になろうと?!
だとすると彼女の毎日の笑顔の裏にはとてつもない苦悩が隠されていたのか?!
衣々子っ、なぜ僕に相談してくれなかった?!
いや、そもそも一緒にいながらなぜ僕は気付いてあげることができなかったんだ!!
こんなんじゃ彼氏失格じゃないか!
僕は彼女の住むワンルームマンションへと急いだ。
せめて僕が着くまでは無事でいてくれっ。
すぐにマンションは見えてきた。
ピンポンも鳴らさずにドアノブに手をかけると、ロックがしてあった。
合鍵!
だがそれをポケットから取り出す時間も惜しかったのでドアを蹴破った。
玄関に倒れたドアを踏みつけると、お風呂場からシャワーの音がした。
そこか!!
僕は勢いよくお風呂場のドアを開けた。
衣々子っ、まだ死ぬな!!
ほのかに立ちのぼる湯けむりの中で僕が見た衣々子の姿は。
ヒゲソリを右手に持ち、左腕を高々と上げていた。
季節はもう春、そろそろ半そでやノースリーブだって着るもんなー。
涙があふれた。
2008年03月24日 16:03 by そこでねこが
>石瀬醒さん
こんな多様な解釈があるとは思いませんでしたが・・・
謎は謎のままで、ってことで。
○水姫さん
「僕」と「彼女」たちは確かに冷淡ですが、それは大人への反発というか断絶みたいなものだと思いました。
主人公は彼女の恋を応援しているというよりは、彼女たちと同じく社会への不信を根元で共有していて、その一心であの、挑戦的 な態度なのじゃないでしょうか?(「偶然会った」と「挨拶がてら酒を買いに来た」という矛盾なんて特に挑戦的!)
そういえば最近スピードの曲を聴いたら(古いっ)、大人社会と全くコードがつながっていないコミュニテイを作って、身を寄せ て守り合っている十代の姿を感じました。
だから売れたんかー、と。
○尾道水道さん
「僕」が一方的に喋り続けていた理由はそれだったんですね(笑)。
「僕」、涙目…!!
ぜひこれからもご参加ください。
バレンタインのお題で多数参加してくださった方たちも、ぜひ…!!
2008年03月22日 01:35 by そこでねこが
始めましてのついでに投稿させていただきます。
昨日入会させていただきました。
これからちょくちょく参加させていただきたいと思います。
どうぞよろしくお願いします。
近所のコンビニで、彼女と偶然出会った。
彼女はツンとした顔で向かいの道路を歩いていた。
僕は立ち読みを中断して、彼女の元へと駆け出した。
(会いたかった!)
入り口のドアを勢いよく開けて、表に出る。
(ちょっと待ってよ!)
僕は彼女に追いついた。
(なんで僕の元を去ったの?)
彼女は知らん振り。
(待ってよ!)
僕は彼女を捕まえた。
ニャ―――――!!
引っ掻かれた。
(僕はお前の飼い主だろう?)
涙があふれた。
水姫さん
「僕」の立ち位置が謎な小品ですね。
「僕」は、彼女の母親に対して非常に冷淡です。
彼女自身に対しては同一化に近い無条件の共感を覚えているようです。
(友人や先輩と言う立場から彼女が居なくなる事を惜しむ、という類の感情を一切表しません)
一体何が起こっているのでしょうか?
僕なりに謎解きをすると(以下ネタばれあり、先に本文をお読みください)
説1 「僕」は霊的存在(死神等)あるいは超自然的能力がある人間で、一種の達観を手に入れている。
説2 「僕」は彼女のペットや愛着のある物が人間化したもので、彼女の思いや母親への反発を共有している。
説3 「僕」は元々どこか超然と生きる人間で、彼女もそういう彼の性格を知って、母親へのメッセージを彼に託した。
説4 「僕」は彼女の親友で、彼女達と共謀して駆け落ちの手助けをしている。母親に言った「入水自殺」云々は嘘。
いかがでしょう?
3のような透明感・浮遊感のある作風もいいと思いますが、僕は、4の解釈を採ります。
そう考えて読むと、「僕」の彼女の母親への奇妙な冷淡さや、平然と彼女の決断を受け入れている事などが、すっと入ってきませ んか?
もちろん、こういった解釈を当てはめてしまうと、「僕」が同世代の刹那的人生観・恋愛観の超越的代弁者となっているような 、この作品の持つ危うげなメッセージ性が損なわれてしまうのですが…
2008年03月21日 11:13 by 石瀬醒
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