昨日学校でやったこと、
昨日学校の、国語学習で"一枚の写真から物語を作る"
ということをやりました。
今回はこれをやりたいと思います。
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お題
[画像]http://blog-imgs-49.fc2.com/k/i/m/kimama0612/kkkk.jpg[/ 画像]
そのサクラは、数日後に切り倒されることになっていた。児童養護施設あすなろ寮正門横に植えられた、二本のサクラ。奥まった一 本は寮の前庭に影を差し、手前のもう一本は道路へとはみ出して伸びていた。その手前の一本が倒されることになったのだ。春一歩手 前。サクラは、花芽を膨らませていた。
それは、二十五年前、初代寮長が苗木を植えたものだった。すくすくと伸び、春ごとに子どもたちの進学・進級を祝い、旅立ちの 子どもたちを送ってきた。しかし、いかんせん伸びすぎた。市の清掃局から苦情が出てしまったのだ。曰く、通行の邪魔になる。道路 へはみ出した部分を切って欲しい。
現寮長・石橋真実子は、清掃局に相談を持ちかけた。真実子は切りたくなかったのだ。サクラは道路へ向かって伸びており、はみ 出した部分を切ると言うことは、サクラの枝ほとんどを切ると言うことだった。「切り倒しましょう。費用はこちらが持ちます」真実 子は耳を疑った。「残りの枝葉だけであの樹を支えるのは、無理でしょう。結局、切り倒すことになりますよ。それならば」お為ごか した、しかし有無を言わせない強い態度であった。きっと、真実子は鬼のように顔を紅潮させていたに違いない。
このことは、寮の子どもたち・職員全員が参加する連絡会であるあすなろ会で、子どもたちにも伝えられた。この四月に高校三年 生になる、人一倍感じやすい穂積れんげが泣き出した。場面緘黙を持つれんげは寮内では話すことはできるけれども、泣くことが彼女 のこうした場でできる最大の自己主張であることは、全員が知っていた。たまらずと言った風に、れんげの同級生・サトシが叫ぶよう に言う。「それは、弱いものは、排除せよと言うことですか」さっきまで、どういうことかわからず内緒話をしていた小学生たちも、 一瞬、しんと静まる。真実子は、静かに話しはじめた。「そうではないの。人様に迷惑をかけてはいけないと言うお話なのよ。これは 」そこまで言うのが、精一杯だった。すると、れんげが小さな声で言う「わかった。でも、今年の花は咲かせてあげて」
サクラ満開の日、その木は、切り倒された。春休みの子どもたちが見守る中で。サトシは、世の不条理に歯を噛みしめた。真実子 は、心の中で「守ってあげられなくて、ごめんなさい」と呼びかけ続けた。そして、れんげは、あすなろ寮にやって来た日、小学校に 上がった四月一日を思い出していた。
2012年03月17日 20:51 by 瀬部 りん
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