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詩人たちの独り言

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傘、半分

その雨宿り、いつまで持ちこたえられる?
駆け込んだコンビニで立ち読みする、おもしろくもない雑誌
ここまで来る間に、体の芯まで冷え切っている
見上げた空のどこに、輝く惑星の気配を感じるの?
薄汚れた雲の下を行き交う人々の洋服は、なぜか暗色ばかり
もう明日に期待しない、そんな子供じみた独り言をつぶやくのならば
この傘に入りなよ、飾り気のない紺色の折り畳み傘だけれど、よろしければ、半分どうぞ

もしも世界は地獄の季節であったとしても
止まない雨はきっと存在しない
海が私達を飲み込む気配はない

いつかあなたが自分の傘を手にするまで
そしてその傘が、その手の中で開くまで
その夢が空に向かって開いて
降り注ぐ雨と矢と
火の粉からあなたを守るまで
あなたの居場所はここから半分

降りしきる冷たい雨が、路面を流れていく
水たまりはどこまでも足元を侵食して
濁った川の轟音は空気を振動させる
昼か夜かも分からない、薄暗い雨の真ん中で
傘の中に閉じ込められている
けれども焦らないで、最初から歩調はそちらに合わせるつもり
あなたの傘が、その手の中で開くまで
あなたはここから半分そっちに居ていいの

出遅れた、季節はずれの花みたいにそれは開くはず
みんなと一緒が怖かったのでしょう
だから最後まで閉じたまま
一番寒いときに美しく咲き誇ろうとするあなたの夢

もっと虹のにおいをたどって進むの
外側の肩がぬれないように、気をつけて
私の持ってきた傘は、偉大になる人には窮屈すぎた
それでも今日が時間切れになるまで、ここから半分があなたの居場所

2010年09月22日 23:43  by sakina

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