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数学的な話

このコミュに物書きのプロ、あるいはプロ志望の方がどれだけいるかわかりませんが、上からの企画書的なお題を出そうと思います。

テーマはズバリ“数学”です。
最近数学がブームなので…。

数字や図形が出てきたり、公式を例えたり、数学者などなど、とにかく数学の話題が出てくればなんでも結構です。
編集部をうならせましょう!

2008年03月22日 11:26  by そこでねこが

コメント一覧 21件中、11~20件表示

  • (1/3)

    僕は何色にしようか悩んでいた。
    表示されているデジタル時計は5分を切っていた。
    目の前には赤、青、黄色のコード。
    この時限装置の時計が0になる前にどれか一つを切らなければ、高層ビルに仕掛けられた爆弾が爆発して大勢の死傷者が出てしま う。
    もちろん不正解のコードを切っても爆発だ。

    僕はニッパーを持って震えていた。
    丹波先輩が叫んだ。
    「瀬戸ぉっ。どれを切ればいいか吐けえっ!!」
    頭を小突かれたが瀬戸は何も言わない。
    アザと傷だらけのままただ息を切らせ、ときおりむせていた。
    こうしている間にも刻々と時間は過ぎていく。
    もしヤマカンで切らなければならないとしたら僕達の責任は重い。
    「丹波先輩…。」
    鬼の丹波先輩も窮地に陥っているようだった。
    時間は1分を切った。
    「仕方ない…!!俺が許可する。鍋島、切れ!」
    「切れと言われても、どれを…。」
    「それはお前が決めろ。」
    目の前が灰色になった気がした。
    「そ、そんな。確率は1/3です。もし間違えたら…。」
    「誰も恨まない。早くしろっ。お前は運がいい!」

    2008年03月26日 01:54 by そこでねこが

  • ○石瀬醒さん

    これまたすごい作品を挙げてきましたね。
    数式が出てきていて数学的だと思いますし、ただ単に数字とか話題が出てくるだけでもOKだと思ってます(例えば世界のナベア ツさんの芸とかw)。

    1回目読んだときは専門用語で???でしたが、2回目からはやっと理解できました(笑)。
    最初は少しマッドというかサイケっぽくてニヤニヤ、中盤はもう一つの世界の危険性にドキドキ、そしてオチでニヤリっとさせて もらいました。
    そのオチも直接絵として表現していないところがまたうまいです。
    がんばれっブレーカー!!
    あるいは彼女はこの世のbreaker!!

    バックアップというアイディアがかっこいいと思いました。
    球体世界を制御できてポケットサイズにできたら、やばいってときに発動させてやり直させられるのかなとかいう展開も考えたり して。

    2008年03月26日 01:53 by そこでねこが

  • 後から見た人には意味不明なやり取りになるかもしれませんが・・
    そこでねこがさん、クラッシュしたのを再編集と言う技で切り抜けた上、誤字まで修正させていただいて、ありがとうございまし た。

    自作:長大になってしまいました。今流行の“数学的”というよりは、ルーディ・ラッカー氏やグレッグ・イーガン氏のようなゴ リゴリの理系SFになっています。(笑)

    そこでねこがさんの作品は、数学でもあり、社会派でもあり。
    数字を軸に記述する構成でありながら、狙いが分かってからもう一度読むと、最後は彼女と一緒にほっとしてしまいます。
    これを読んで、それは数字で決める事じゃないだろ!と、改めて思いました。

    2008年03月25日 12:26 by 石瀬醒

  • 4

    僕は、手近にあった椅子に腰を下ろした。
    酷く疲れた気分だった。
    「当面、あっちの世界とこっちの世界は同期しているとして、どの位の期間で量子論的ゆらぎの影響がマクロになってくると思う ?」
    「さあ」
    「まあいい、とにかく慎重に調査して、早急に世界を切り離す方法を見つけよう」
    僕がそう言って両手で瞼をもみほぐしていると、驚いたように真壁が言った。
    「切り離すだって?
    これから徐々に2つの世界は異なったものになっていく。そうすれば、一方が他方のバックアップになるんだぞ。
    それどころか、この装置で幾つも世界をコピーすれば」
    「バックアップなものか」
    僕は興奮して早口でまくし立てる彼を遮った。
    「今後、君が幾つ球体を作ったって、その中には我々とその装置と、作られた球体の全てが含まれるんだ。
    つまり、どれか一つの世界で装置が故障すれば、その世界以外の全ての世界が消滅する。
    バックアップどころか、世界消滅の危険度が増すだけだ」
    「うむ…、まあ、君の言うのにも一理あるが…。
    どれか一つが残るならいいじゃないか」
    「それが、俺達の居るこの世界とは限らないんだぞ」
    「どの世界の俺達も大して変わりはしないさ」
    「そう言う問題かよ…」

    その時、実験室のドアが開いた。
    「あー、また先生こんな暗い中で作業してる」
    不必要に大きな声でそう言いながら、白衣の女性が入ってきた。
    どうやらこの研究室の学生らしい。
    「電気ぐらい点けて下さいよ、目を悪くしますよ」
    言いながら彼女はスイッチに手を伸ばす。
    「あ、やめなさい。灯りを点けるとブレーカーが落ちる」
    彼女はmp3プレーヤーを聴いているらしく、真壁の声は聞こえないようだった。
    僕は、それでコーヒーを外で淹れていたのか、とぼんやり考えていた。
    銀色の球体の中で、小さい姿が電灯のスイッチを入れた。

    2008年03月25日 12:06 by 石瀬醒

  • 3

    「じゃあ、これは本当に2つの3次元空間の界面なんだ。」
    「最初からそう言ってるじゃないか」
    この事態について整理するうち、僕は恐ろしい事に気付いた。
    「もしも、この宇宙の全てが鏡面写像に投影されたら、写像上の人間には、その事が分かると思うかい?」
    「神経から分子から、何もかもが鏡面対称になるのなら、分からないだろう。
    我々が左だと思っている方向が、やっぱり左だと言うだけの事さ」
    こんな時に何を聞くんだ、という顔で真壁が答える。
    「向こうの世界にも、お前の作った装置はあるんだよな?」
    そこまで言って、彼にも僕の言いたい事がわかった。
    「そうだ。向こうにも同じ装置があって、同じ事を考えている僕達が居る。2つの空間は界面を挟んで対称だから、向こうから見 ればこっちが球体の内部に見えるだろう。
    一旦鏡面宇宙が生成されれば、どっちがオリジナルでどっちがコピーか区別するすべは無い」
    「これを」
    僕は球体を指差しながら訊いた。
    「消滅させる事は出来るのか?」
    「あ、ああ、出来ると思う。この装置のスイッチを切れば…。
    もしかすると、消滅させるのではなくて、切り離すだけになるのかもしれないが」
    「すると、どっちの宇宙が生成されたものであるにしろ、先にスイッチを切った方が相手の宇宙を消滅させる事が出来るわけだ」
    言い終わるなり僕は、彼の装置に取り付いた。
    「どれだ、どのスイッチを切ればいいんだ?」
    振り返ると、真壁は動揺した様子で口をパクパクさせている。
    くそ、頼りにならない奴だ!
    こうなったら勘ででも…
    「待て!吉岡、球体を見ろ!」
    真壁の叫びに、僕は銀色の球体を見た。
    中から、恐怖に目を見開いたいびつな顔が見返している。
    その左手は装置のスイッチの一つをまさに押さんとしていた。
    「!」
    「そうだ。量子サイコロはともかく、向こうの世界とこっちの世界は未だ同期している」
    「俺がスイッチを切れば、向こうもスイッチを切る…」
    「同様に、君が下がれば向こうも下がる。この会話は向こうでも行われているんだ」
    僕は、装置のスイッチに伸ばした手を引き、静かに一歩下がった。
    「“真の同時”というのがこの場合どういう意味かは分からないが、2つの世界が両方とも消えてしまう可能性が無いとも言えな いぞ」

    2008年03月25日 12:05 by 石瀬醒

  • 2

    どうやらさっきの話はこれを見せる前振りだったらしい。
    「3次元空間全体の写像がこの球の中にある。まあ、空間反転界面とでも言うべきものを創ったわけだ」
    「…」
    僕は無言で球体を見つめる。
    球体の中から、鏡像&魚眼の僕が見つめ返す。
    「君はこれを、表面の反射ではなく、球体内部の光景と言い張るわけだ」
    「無論」
    「では、これが君の子供じみた悪ふざけで無いとして、これは3次元空間全体の反映と言うか、影みたいな物なのかね?それとも 、生成された後は自律的に動く別の空間なのか?」
    「さあ」
    真壁は、僕を見下したように流し目をくれ、
    「これがどう動いているか僕にも分からないが…その2つの状態に原理的な区別はあるのかね?」
    と聞き返してきた。
    舐められたものだ。
    こちとらプロの論理屋だ。区別できない二つの状態について議論を吹っかけはしない。
    「ここには量子サイコロがあるだろう?」
    「ああ、そういうことか」
    僕の質問の真意を理解したようで、彼はさっそく部屋の隅に行き、量子乱数機で発生させた10桁の乱数列をプリントアウトして きた。
    現時点での量子論の常識では、確率分布状態の量子は、いかなる形でも演繹的にその観測される状態を予測できない。つまり、あ る時点で同じ状態であった2つの量子が、後の同時刻に同じ状態である事は、保証されないと考えられている。
    だから、この場合、2つの世界が互いのコピーであっても、それぞれが物理法則に従って変化する独立した存在であるなら、同時 に発生させた量子乱数が同じになるとは限らないという事なのだ。
    「さて、答え合わせだ」
    真壁は球体に向かって紙を広げた。
    球体に映る真壁も同じように紙を広げる。
    1286629475
    1388594250(実際には左右逆)
    僕達は反射的に一歩後退ると、顔を見合わせた。
    「この中には、もう一つの宇宙がある」
    僕の言葉に、彼はこくこくと頷く。

    2008年03月25日 12:05 by 石瀬醒

  • 1

     物理学教室の真壁に呼び出されて彼の研究室に行くと、彼は人目を憚るようにドアを細く開けて僕を招き入れた。
    彼は僕に応接用ソファを勧めると、ドアから外に出、暫くして両手にコーヒーカップを持って戻ってきた。
    研究室にもコーヒーメーカーは有った筈なのだが、故障でもしているのだろうか。
    「吉岡」
    カップをそれぞれの前に置くと、いきなり語り始めた。
    「3次元空間全体を任意の大きさの球体内にマッピングできるのは分かるな」
    本当にいきなりである。
    僕は、彼の言葉を頭の中で反芻し、イメージを作り上げる。
    「えーと、例えば半径2mの球があったとして…」
    その辺に有った紙の端にメモを取りながら続ける。
    「中心からある方向にXmの距離にある点を、方向は変えずに2-(1/2)^(X-1)mの位置に移すような写像なら、全空 間を球体内に納められるな」
    中心から周縁へ、等比級数的に収縮する空間を考えればいいのだ。
    最初の1mは1mだが、次の1mは50cmに、次の1mは25cmにと、半分ずつに距離を縮ませて行けば、無限の長さを2m の中に畳み込む事が出来る。
    「それじゃあだめだ。それだと外縁が到達不能点になる。
    逆にするのさ、球体の表面がこの3次元との界面で、中心に向かって我々の鏡像を配置する。中心が無限遠点だ」
    「まあ、それでもいいが」
    なぜ、「それじゃだめ」なのか分からない。
    「これを見てくれ」
    彼は、実験室の扉を開いた。
    パソコンや、分けの分からない装置が雑然と置かれた部屋の真ん中、宙空に球体が浮かんでいる。
    表面は白銀色に見える。どうやら鏡面になっているらしい。
    「で?どうやって浮かしている?」
    僕が聞くと、
    「これが、その反転空間さ」
    と、しれっとした顔で言う。

    2008年03月25日 12:03 by 石瀬醒

  • いえいえ、むしろわざわざ仕事中に書き込んでいただいてありがとうございます。
    石瀬さんの作品の連続性を維持するために僕のは再編集してageさせてもらいました。

    余計なお世話と重箱で申し訳ありませんが、4話目、「るまり、どれか一つの」の部分に誤字があります。
    せっかくいい作品なのでもし読者にもっと楽しんでもらった方がよければ、再編集したらいかがでしょうか。
    そのときは僕のも再度ageて連続性は維持させます。

    感想は後ほど書かせてもらいますが、一言だけ。



    すげぇ!!

    2008年03月25日 10:53 by そこでねこが

  • 女は二つの呪いをかけられた。

    最初の日、女の手から指輪がすり抜けた。
    2日後、女は新しい部屋を借りた。
    7日後、女の顔からアザが消えた。
    10日後、女は食事がのどを通るようになった。
    20日後、女は夜眠れるようになった。
    30日後、女は笑うことができるようになった。
    70日後、女はパートを見つけて働き出した。
    100日後、女は男性とお付き合いを始めた。
    150日後も、女はデートを繰り返し、愛を重ねた。

    180日後、女の一つめの呪いが解けた。
    民法773条により、前婚の解消から6ヶ月が経過したので、女は婚姻をすることができるようになった。

    だが、女はまだ、もう一つの呪いが解けていない。

    185日後、女は男性と籍を入れた。
    200日後、女に妊娠が発覚した。
    女には呪いが頭をよぎった。
    女は日々呪いの事を考えた。
    220日後、女のお腹は順調に膨らみ始めていた。
    女は自分のお腹とカレンダーを交互に見ては呪いの事を考える。
    呪いはまだ続いている。
    230日が経過した。
    呪いはまだ続いている。
    250日が経過した。
    呪いはまだ続いている。
    呪いはまだ続いている。
    呪いはまだ続いている。

    お腹が目立ち始めたとき、女にかけられた最後の呪いが解けた。
    民法772条により、前婚の解消から300日が経過したので、前夫にはこれから生まれる彼女の子どもを認知する権利がなくな った。
    お腹の子どもは法的に現在の夫との間の子どもに確定した。

    465日後、女は元気は男の子を産んだ。
    今、女は幸せである。

    2008年03月25日 10:43 by そこでねこが

  • 全2ページのまんがです。
    まずはライトなものをば。

    次はもっと数学に突っ込んだものを文章で書きます。

    2008年03月22日 15:06 by そこでねこが

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