サンタクロース・煙突・プレゼント(お題小説)
三つのお題、第四弾!!
今回は、季節を先取りした感じのお題です(笑)
あまり、考えないで、急遽決定……。
下の三つのお題を全て含んだお話を書いて下さい。
お題
・サンタクロース
・煙突
・プレゼント
このお題で、どんなお話が飛び出すのか、楽しみです♪
ルールはいつもと同じ感じで。
「煙突掃除」などでも、お題消化ってことで。
ではでは。
2007年11月29日 15:55 by もみじ
たろすけ(すけピン)さん
すごい,全部入ってます!表現が素敵すぎます!
逆にまっすぐに思えてきますよ。できればこれからもこういうのやってください。楽しみです^^
石瀬醒さん
登場人物に味が出ていて良かったです。
この長さで、すごい。
「呪術的」というところが、密かに好きです(笑)
2007年11月30日 18:36 by もみじ
式が終わると、またダンボール箱を開ける作業が待っていた。
僕が永久に続くとしか思えぬ苦行の手を止めないのは、すぐ横に嬉々として指揮を執る鬼軍曹が居るせいだ。
真理子は、食器棚にガラス製品を、彼女にしか解らない呪術的な法則にしたがって並べながら、僕に言う。
「またボーっとしてる。ナイフやフォークを大きさ別に仕分けるのがそんなに難しい?」
「ん?いや、お義兄さんのことを考えてたんだよ」
半ば本当、半ばボーっとしていたことへの言い訳。
「結局、式には来てくれなかったな。サンタクロース島に海底煙突の調査に行ってるんだって?」
「クリスマス島だから。…海底煙突ってのは、チムニーの事ね」
「式の予定は随分前に伝えてあるのに、妹の結婚式に学術調査入れるかね」
「仕方ないわよ、ああいう大掛かりな調査は、向こうのスタッフの都合もあるし」
「お義兄さんはさ、俺みたいな普通の会社員に妹をやるのが嫌なんだよ」
「そんなこと無いわよ。もう、新婚早々変なことで拗ねないで」
玄関のチャイムが鳴った。
まだ聞き慣れない音なので、一瞬、何事かと辺りを見回してしまう。
郵便物。海外からの小包だった。
中からペンギンをあしらった木製のネームプレートが出てきた。
義兄からのプレゼントだ。
「ねえ、クリスマス島にはペンギンが居るんだって」
真理子が添えられた手紙を読みながら言う。
「雄と雌が交代で、子供を足に挟んで育てるペンギンのように、中睦まじい家庭を作ってください、だって」
これで誤解も解けたでしょ、と言わんばかりの微笑を僕に向ける。
でも僕は、まだもう少し減らず口を叩きたい気分だった。
「子供を足に挟むのは、南極に住む皇帝ペンギンだろ?オセアニアにいるペンギンは普通に穴居生活してるさ」
真理子は、あきれた、と言うように目を丸くして見せた。まったく、表現力豊かな顔だ。
「そういう話を兄とすればいいじゃない。もう、変なコンプレックスで兄を避けてるのはあなたの方じゃないの?」
僕は肩をすぼめて食器の仕分けに戻った。
ペンギンのネームプレートは、次の日から僕たちの部屋のドアに揺れている。
2007年11月30日 12:11 by 石瀬醒
石瀬醒さん
すっかり出した気分でいました……。
たろすけ(すけピン)さん
無理矢理さに思わず笑ってしまいましたよ(笑)
拍手!
2007年11月30日 10:50 by もみじ
もみじさん、言及してなくても、登場してるからいい、というワザだと受け止めましたw。
たろすけさん・・・
すごいですねぇ!
今後、3題作文が増えていっても、きっとやってくれるのでしょう(プレッシャーw)。
『年老いたハムスターのように憔悴しきっていた』 とか『煙突型のキーホルダー』とか、永久保存版の表現だと思います!。
2007年11月30日 08:58 by 石瀬醒
コンビニ近くの浜辺で、俺は嬉しくなった。
仕事の帰りのことだ。いつも寒い思いをしながら相棒と夜を明かす。
相棒はいつも文句のひとつも言わず、俺と仕事をしてくれている。その相棒に少しでも感謝をしたくて、二丁目の喫茶店で軽い軽 食をご馳走してあげた。
「雨、上がったな」
「そうだな」
疲れからか、言葉少なに会話する。やはりこの歳での夜勤は、お互い体に障る。
窓際のテーブルで朝焼けのグラデーションを楽しむ余裕もなく、年老いたハムスターのように俺と相棒は憔悴しきっていた。
「あ、そうそう。メリークリスマス」
相棒が、プレゼントの包みを俺に差し出した。
「おいおい、よせよ。」
「何言ってるんだよ。俺がここまでがんばれたのは、あんたが誘ってくれたからだ」
「…いいのか?」
「当たり前だろう!? 何を遠慮しているんだ。らしくないな」
笑いながら相棒が促すので、俺は包みを開けた。中から煙突型のキーホルダーが出てきた。
「すまんな。俺は何も用意していないのに」
「気にすんなって。俺も世話になっているし」
世間が目を覚ます前に、俺たちは帰ることにした。
空高く舞い上がる。まっすぐ北を目指して。海に近づくと、突然に相棒が叫んだ。
「お、おい! アレ、見ろよ!!」
俺が相棒の視線の先を見ると、砂浜に迷路のような模様がスコップで書かれていた。
『サンタさん、ありがとう』
「ははは。粋なことするやつもいるもんだな。相棒」
「全くだな。夜は暗すぎてわからなかったけど、あの雨でよく消えなかったな」
さて、来年もたくさんのプレゼントを用意するか。俺も相棒も、そう思わずにはいられないプレゼントを最後にもらった。
あることを意識して作りました。バレバレでしょうけど。笑
2007年11月29日 22:29 by たろすけ(すけピン)
だめだ……早速、サンタクロース入れるの忘れた(汗)
幸先、悪い……。
2007年11月29日 18:59 by もみじ
プレゼントは煙突だった。
彼とは深夜のコンビニで出会った。
彼はお弁当コーナーで商品を食い入るように見つめていた。
鮭おにぎりを手に取っていたかと思うと、それを戻して、今度は幕の内弁当を手に取ったりしていた。
しばらくそんなことを繰り返したあと、彼は大きなため息を一つつき、コンビニを出て行ってしまった。
私は彼のことが気になった。
飲み物を選んでいる振りをしながら、ずっと彼の挙動を観察していた。
だから、彼がコンビニを出ると、私は迷わず彼の後を追った。
彼は近くの公園でベンチに腰掛け、夜空を見上げていた。
彼の口からは白い息が吐き出されては消え、吐き出されては消え、その様子はまるで煙突のようだった。
私は彼に話しかけた。
お金がないんです、彼は弱々しく笑った。
私は自分の家に強引に彼を招待し、鍋に残っていたカレーライスを振舞った。
今思えば、私は彼のひげに惹かれたのだと思う。
真っ白で、たっぷりとたくわえられた、そのひげに。
彼の家の立派な煙突。
クリスマスの日、その煙突を私にプレゼントする、と彼は言った。
僕が持っていても、仕方がないから、と。
彼の仕事は一年に一日しかなくて、だからその日の前になるととても貧乏で、大切な大切なその日の翌朝に、彼が満ち足りた笑顔 で私の煙突から家に帰ってくるのを、私は毎年、ひどく楽しみにしているのだ。
2007年11月29日 18:47 by もみじ
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