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遊水池

あるテーマで作品を書いて、トピックに書き込んだ。
また思い浮かんだので、トピックに書き込んだ。
また思いついた。

マズくない?
俺トピックの流れ悪くしてない?
他の人書き込みにくくなってない?

と言う人のための遊水地です。

溢れ出るナニカをここに吐き出してください!

2008年02月22日 11:35  by 石瀬醒

コメント一覧 39件中、11~20件表示

  • 「数学的な話」ですが、少しお下品です。


    「お帰りなさ〜い。」
    家に帰ると、妻のいつものはずんだ声が迎えてくれた。
    フンフフンフフ〜ン♪
    妻は楽しそうに鼻歌を歌っている。
    カラカラカラと軽快な音も聞こえてきた。

    ――今日はトンカツ?
    「はっずれ〜。メンチカツでした〜。」
    ――くそ、惜しい。でもやっぱり揚げ物か。
    僕は台所から出てきた妻にスーツを渡した。
    「あっ、メタボ気にしてる? 大丈夫、あたしそこんところも考えて、今日のメンチカツはボール型にしたの。」
    ――ボール型って肉団子みたいにしたってこと? どうして?

    スーツをハンガーに掛け終えた妻は得意げに言った。
    「油って結局はカツの部分でしょ。てことはカツの量を減らせば油も減ってローカロリーになるでしょ。」
    ――まあ確かに。
    僕はテーブルに座った。
    「カツはハンバーグの表面に付着する、ならハンバーグの表面積が小さければ小さいほどカツは減るわよね。」
    ――なるほど、そういうことか。
    僕は妻のアイディアに感心した。
    なぜなら同じ体積であれば全ての立体の中で球は最も表面積が小さいからだ。

    「へへへ〜。すごいでしょ。これねえ、ふんころがしを思い出したとき考えついたんだっ♪」
    妻はこんなにも僕の体に気を遣って…、
    って、え……?
    ふんころがし……………?
    「ふんころがしがフンを転がすのは球形が最も表面積が小さくて乾燥を防げるからって言うじゃない。ハンバーグをペタペタこね てるとき、あたし、これだーって思ったの! もう特許ものよね!」

    ニコニコした妻が僕の前に置いてくれた皿には直径3センチほどのメンチカツが転がっていた。
    少し高温で揚げすぎてしまったそれは、ほんのりキツネ色というよりも濃い茶色になっていた。
    そえられたキャベツの千切りはなんだか草むらに見えてきた。

    フンフフンフフ〜ン♪
    妻は台所に戻ってまた鼻歌を歌い始めた。
    付き合って6年、結婚して1年、今、僕の妻への愛が試されているような気がしてならない。

    2008年04月17日 00:41 by そこでねこが

  • 数学的な話

     「このAIは迷信を信じるんだよ」
    情報工学の坂田が言った。
    「迷信?」
    「タガルには甘いメッカミが効くとか、ロドムに襲われて偶然死ななかったマグヨーは神の子だとかね」
    「変な固有名詞がいっぱい出てきたが、それは君の仮想世界の疫病や食物や肉食獣や人の名前なんだろうな。
     で、なんだって迷信を信じる機能なんてつけたんだ」
    「そうしないと、文明が生き残れないからだよ」
    坂田は嬉しそうに言う。
    「僕が進化論的文明の発達をシミュレートしてるのは知ってるだろう?」
    「ああ」
    「それがさ、生得的に論理的思考のみを可能にした個体群は、すぐに死滅してしまうんだよ」
    「なぜだい?」
    「疫病にしろ、天候の変化にしろ、知的生命体の直面する困難というのは、その原因を解明するよりも前に、まずとり得る対策を とらねば集団の存亡に関わるようなものが多いんだ。
     そんな時は、たまたま病気にかかる前にある草を口にしていた者が助かったなら、例え合理的な根拠は薄弱であっても、それが 効くと信じて情報を共有する事が集団の生き延びる術だったんだ。
     勿論、経験の積み重ねと言う篩にかけられる前には、『赤い服を着ていれば助かる』だの『神の水を飲めば助かる』だのと言っ た純然たる迷信もはびこるんだけどね」
    「それは面白いなぁ」
    僕にも漸く事態の面白さが分かってきた。
    「カントは理性的認識の枠組みがアプリオリに人間に与えられていることを証そうとしたが、真にアプリオリだったのは妄信の方 だったと言う事か」
    「そして、文明の黎明期に真に役立ったのは、そっちだったと言う事だ」
    「でも、文明同士の競合の歴史が積み重ねられた後のどこかで、迷信と科学の逆転が起きるんだろう?」
    「そう、自然の合理的理解に基づいた技術は、生産性と軍事力で迷信文明を圧倒する。
     が、その後驚くべきスピードで自然環境を消費し尽くしてしまう」
    「で、どうなるんだい?君のシミュレーションでは」
    坂田は弱々しく笑った。
    「まだ生き残るパターンが出現してくれないんだ」
    「おいおい、それはまずいなぁ」
    「でもな、今走らせているパターンは有望なんだ。
     コイツらは生き延びるかもしれない」
    「へえ、その文明はどんな対策をとってるんだ?」
    「奴ら今、文明シミュレーターを作って対策を探っているよ」

    2008年03月31日 15:28 by 石瀬醒

  • (2/2)

    しかし今日は珍しく人肉の話は出てこなかった。
    「ねえ、紅一点、聞いた?」
    僕には何の話かわからなかった。
    「昨日国語の先生が言ってたんだけどね、昔の中国の詩にね、一面の緑の中に真っ赤なザクロの花が一輪だけ咲いてる様子を詠っ たものがあるんだって。紅一点ってのはそこから来てるんだって。」
    ザクロという単語でげんなりしたが、僕はそのまま相づちを打ちながら聞いていた。
    「でもさ、今はさ紅一点て女性が一人いるって意味じゃん。相馬くんはなんでザクロが女性にたとえられたと思う?」
    「…赤いから?」
    「うん、あたしもそう思ったの。でも九谷ちゃんが言うには割ったザクロが似ているからじゃないかって。であたし昨日鏡を当て てよく見てみたの。」
    肝心な目的語が抜けていたので、僕には話が飲み込めなかった。
    だが彼女のおしゃべりは僕にかまわずに続く。
    「そしたら確かにザクロそっくりだった!」
     ナ ニ ガ ?
    「ま、あたしのはあんな真っ赤じゃなくて、桜みたいにきれいなピンク色なんだけどね〜。」
    彼女がまたケタケタ笑った。

    次の日僕はデパートの青果コーナーでザクロを買った。
    家に着き部屋の鍵を閉めると、それを真っ二つに切ってみた。
    気持ち悪さを抑えながら、あふれ出た汁が乾くまでずっと眺めていた。
    大きくなっていつか大人になったとき、果たして僕はこの真っ赤なザクロを好きになることができるのだろうか。

    2008年03月28日 09:58 by そこでねこが

  • 春の3つのお題(校門・桜・老婆・共食い)です。
    (1/2)


    僕はザクロが嫌いだ。
    もともとめったに食べる物でもないが、想像するだけでも気持ち悪くなる。

    「相馬くーん。」
    今日も捕まってしまったか、僕はどきりとした。
    校門から僕を呼んだのは益子伊万里。
    よその学校にも知れ渡っているくらいダントツにかわいい子だ。
    色白で肩にかかった髪をなびかせてケタケタ笑う。
    そして僕をザクロ嫌いにさせた張本人でもある。

    実は彼女には人肉を食べたいという願望がある。
    いや、そんな共食いのような趣味はないと思うが、人肉を食べる話が大好きなのだ。
    彼女は僕といるときだけそういう話をしてくれる。
    もっとも僕はそんなの聞きたくないが…。

    「ザクロって味とか食感が人の肉に似てるんだって!」
    だれからきいたの。
    「仏教の昔話に子どもをさらっては食べちゃう鬼がいたけど、お釈迦様はそれをやめさせるためにザクロの実をあげたのはそうい う理由だったんだね!」
    しるか。
    「安達が原の鬼婆もザクロで済ませられたかもって思わない?」
    まったくおもわない。
    それ以来僕はザクロと聞くと、人肉を思い出すようになってしまったのだ。

    2008年03月28日 09:54 by そこでねこが

  • カレンダーの裏に描いた初め・終わり指定作文。の4コマまんがです。

    と思いきや、出だしの文章が微妙に間違っていたので、消化ならず。
    涙があふれた。

    2008年03月23日 01:35 by そこでねこが

  • >筆名を寛政期の作家の本名からパクってる
    これと「洒落本」で由来がやっとわかりました(笑)。
    あの人ですね。
    僕はヴィターリー・カネフスキー監督の大好きな同名映画からタイトルをパクりました(笑)。
    宮城理子の少女漫画『花になれっ!』をパクろうかとも考えましたが。

    >毎年植え替える吉原の桜
    こんな習慣があるとは知りませんでした(笑)。
    どうもこれは浅草の奥山の千本桜が枯れてしまったので、、遊女達が桜を寄進して植えたときに詠んだものを編纂したらしいです 。
    吉宗が享保年間にこれを見に行ったと言われてるから、18世紀前半の頃のことだとは思います。
    “我うゑし桜をしらぬつとめかな”
    なんて哀しくもイイやつまであるので、岩波でもどこでもいいんでぜひ出版してほしい・・。


    それにしても副管理人さんのネーミングセンスは図抜けてると思います(そして少し時代劇好き?)。

    2008年03月22日 01:31 by そこでねこが

  • 巣立ちを前向きに、照れずに描いたいい作品だと思います。

    私は、筆名を寛政期の作家の本名からパクってるような、天明〜寛政好きなので、「かむろ」の句に反応してしまいました。(笑 )

    自分の桜(毎年植え替える吉原の桜の事ですよね?)を、(自分の姉女郎の美しさと重ねて?)誇る無邪気な禿の気持ちが切ない です。
    昼三が気付くと、火鉢の傍にあどけない顔で振袖新造や禿が寝こけているという、洒落本などによく描かれる微笑ましくも哀しい 擬似家族の情景が目に浮かびます。

    2008年03月21日 12:09 by 石瀬醒

  • 春の3つのお題(校門・桜・老婆・共食い)から、全4ページのまんがです。
    このまんががつまらない理由は僕自身よくわかってます。

    ちなみに作中の俳句を収録しているのは『桜鏡』という本です(四鏡とかけた題名も典雅です)。
    で、この俳句はかしくというかむろ(遊女の付き人みたいなもん)が詠んだものです。

    2008年03月20日 16:52 by そこでねこが

  • ○そこでねこがさんへ
     はい。72時間以内といっておきながら、1日くらいで書き上げたのは、
     ここに狙いがありました。(いや、私ってアホですね)

     私もずいぶん前からタバコに依存してますので、こういった文章もイヤではないんですよ。
     たろすけ(すけピン)がこういった文章を書くのは、このコミュだけだと思いたいです。w

    2008年03月16日 23:01 by たろすけ(すけピン)

  • ○たろすけ(すけピン)さん
    18禁、石瀬さんだけでなく、たろすけさんまで!
    どうなっても知りませんよ。。。w

    前作では僕も唇相当乾くだろうな〜と思ってましたが(変換したら1発目に双頭が出た のはナイショの方向で)、なるほど、たろすけさんはその処理方法も考えていて、主人公にそれを元に処理させることで物語 としても処理したのですね。
    こういうディテールへのアプローチ(配慮)って好きです。

    >じゅるる。
    そうか。そうやって…
    >だから、とても下品な音がする。
    そう、とても下品だ。
    とても……
    すごくいいリズムを生んでて、上手いです。

    しかしこの男、独身どころか、ドテーイくさいです(笑)。

    2008年03月16日 10:30 by そこでねこが

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