リレー小説
トピック、『リレーやらない?』での決定に沿ったリレー小説です。
参加希望の方は上記のトピックに表明して他の方々の指示に従ってください。
2008年08月31日 03:55 by イフト ソラ
3(最後)
白羽は魔術師の血を引く家系に生まれた。
毎日修行に励む充実した日々。
しかし二日前。
何者が、突然彼女の屋敷に攻め入った。
両親を目の前で殺され、彼女の中で何かが弾けた。
気がついたら、白羽は屋敷の中心で一人、立っていた。
当たりには敵が同士討ちした後がある。
普段は笛によって意識的に制御していた力を無意識に解放してしまったらしい。
彼女は無意識のうちに屋敷を出て、暗くなった裏路地を歩いていた。
そこで怜治に出会ったのだ。
彼女にはもう行くところはないのだろう。
怜治には、自分と似た白羽を放っておく事など出来なかった。
「よかったら、俺と働かないか?」
「え・・・・?」
「俺、仕事屋してるんだ。お前のその魔術とやらがあるとかなりやりやすくなると思う。」
「いいんですか?」
彼女は驚きをもった目でたずねる。
「もちろん、よろしくな。」
怜治と白羽は、一年の間にかなり打ち解けた。
今ではまるで、生まれたときから一緒に育った兄妹のような感覚だった。
「何考えてるの?」
しばらくぼおっとしてしまったらしい。
亜季が不思議そうに聞いてきた。
「あ・・・・いや、ちょっと昔のことを思い出してただけだ。少し急ぐぞ。しっかりつかまってろ。」
怜治は白羽のことを心配しつつ、速度を上げて走り出した。
8番手 NEGI (2
「じゃあこうしたほうがいいかしら」
言いながら、自分の腕に腰に備え付けていたナイフで切り傷をつけた。
「血が出てないじゃねぇか」
こくりと頷き、腕に出来た一線の傷に片手を添えると、血が勢いよくほとばしった。反論したげな怜治の顔色を読み取ったのか 、血は次第に勢いを消してゆく。
「で、コレかラどこにイクNo」
「おいおい、しゃべるなしゃべるな」
一般的な女性の体重とは思えない重みを背中に感じながら森の中を歩いてゆく怜治に、亜季が機械的な声を発する。
「シKaし”!そbbbbレでハ……。@ア#イツがフしぎガ……ル」
徐々にその重みは、怜治の歩みを止めてしまうほどに膨張してゆく。苦痛にゆがむ怜治の顔を眺め、亜季がにやりと笑った。
「知ラれたかRANIHA,KORO¥SU」
「おいおい」
もてる重さでなくなった亜季を乱暴に地面に落とし、 ジャケットの裏地に忍ばせていたナイフを手にする。しかし亜季は無反 応を続ける。
風が少しだけふぶき、木々がざわめきをはじめる。一瞬の隙をつき、月の明かりに照らされる無表情の亜季の顔をめがけナイフ を振り投げるも、まるでそこに来ることがわかっていたかのように流動的に避け、怜治に冷たい微笑を投げ返す。いつもは冷静なはず の怜治も、さすがに表情がこわばっていた。涼しい、いや、寒いくらいなのにもかかわらず、怜治の額には無数の脂汗がゆっくりと流 れていた。怜治に残された武器は、もはや自分の肉体しか無かった。それがあせりを膨張させる。
「イいわ」
のしかかるような静寂の重圧を撥ね退けるかのような冷たい言葉を出した亜季は、ゆっくりと怜治に近づいてゆく。
「Aたシと^89403 “AITSU”のジャ魔をスルナら、 "KILL"」
亜季が“KILL”という言葉を発したとたん、怜治の体が弾けとんだ。
8番手 NEGI
次第にあたりは暗くなってゆき、いくら修行の積まれた二人でも闇で覆われた森の中を全速力で走るのは難しくなってきていた 。二人の体は木々やその合間の敵の攻撃により体力を奪われていた。時折足を止めながら息を整える。その間にも敵はすぐ近くまで忍 び寄り、満足に休む暇も無かった。
「で、これからどうするわけ?」
地面にへたった亜季を、怪訝な表情で眺める怜治。亜季の片足が、敵の攻撃により吹き飛んでいた。しかし不思議なことに血は 一滴も出ていない。そしてそれを不思議がるようなそぶりも見せない。これが当たり前、そういいたそうな顔つきだった。
――やはり、か――
歩けそうに無い亜季を背負い、闇の中を手探り状態で歩いてゆく。
「そういやさぁ」大人しく背中に張り付いている亜季に目をやりながら声をかけた。「俺の体、木の枝なんかで傷付いてんだけど 、お前の体って“それ”以外のダメージを受けていないよな」
亜季の体は、怜治の言葉通り、足が吹き飛んだ以外には全くといっていいほど傷一つなかった。銃弾が飛び交い、流れ弾にかす れることもあるだろう、暗闇の中を走り、転ぶこともあるだろう、枝が刺さることもあるだろう、草で切ることもあるだろう。現に怜 治の体は文字通り傷まみれであった。服は破け、土が付き、血がにじみ出ている。
2
一年前の雨の日。
怜治は依頼された仕事を終え、自分のアパートに帰るところだった。
依頼は簡単で、いつもより報酬も多かった。
その金で前から欲しかった拳銃を買い、怜治の機嫌はかなりよかった。
この当たりは治安がいいとは言えず、怜治のアパートにほとんど人は住んでいない。
なので、その少女が玄関の前でたたずんでいるのを見たときはさすがに驚いた。
「・・・・このあたりは危険だぞ。早く大通りへ戻れ。」
念のために忠告するが、少女はうつろな目で怜治を見つめるばかり。
「お前・・・・・」
彼女の体は、明らかの他人の物と分かる血で染まっていた。
怜治はまよったが、彼女をこのまま放っておくのも気がひけたのでとりあえず自分の部屋へ彼女を入れた。
体についた血を流させ、自分のベットに寝かせると彼女はおとなしくそれに従った。
気にかかる事はたくさんあったが、怜治は次第に考える事も面倒になり近くにあったソファーで寝むりについた。
目を覚ますと、昨日の少女が怜治を見下ろしていた。
「おはよう・・・・・」
「おはようございます。」
話せたんだな、と少し安心する。
「よく眠れたか?えと・・・・」
今更ながら、お互い名前すら知らない事に気がついた。
「あ・・・・皇白羽です。昨日はありがとうございました。」
「いや、気にしなくていい。俺は月島怜治。よかったらこれまでの事、聞かせてくれるか?」
白羽も怜治の事を信用したらしい。
ゆっくりと昨日までの自分のことを話し始めた。
7番手 琴音
1
爆発は止まる気配を見せず、四人の真上の屋根が崩れた。
あたりに煙が立ちこめ、それぞれ咄嗟に近くの穴があいた壁から外に飛び出した。
怜治は咄嗟に自分の隣に倒れていた白羽を背負いその場を離れる。
しばらく走った後だろうか。
「うっ・・・・ゲホッ。春樹・・・?」
そのときやっと怜治は自分の犯した間違いに気づいた。
「ッ!お前・・・・何をっ」
完全に亜季は覚醒してしまったらしい。
何とか怜治から離れようと身をよじっている。
「くそっ・・・・」
この女を殺すわけには行かない。
「神凪祈亜季!白羽が言ったが今は休戦だ。お互い相手に会うまで何も仕掛けない。俺は安全なとこまでお前を運んでそこで白羽 を待つ。お前も奴を待ってればいい。分かったか?」
怜治の態度はもはやそれまでの亜季に対する物とかわっていた。
亜季にはそれだけ怜治の必死さが伝わったが、思わず問い返す。
「何で敵にそこまですんのよ!あたしなんかその辺にほっといて先に行けばいいじゃない!」
「俺はお前を殺せない。ただそれだけだ。」
本当はもし白羽が敵の手に渡っていたときの切り札、という意味もあったのだが、それを言うとややこしくなりそうだったので怜 治はあえて口を閉ざした。
「あんた・・・・いったい何者?」
亜季は少し冷静になり、怜治に尋ねる。
「土御門に雇われた。」
亜季はそれ以上答えないと分かったのか、その答えには反論しなかった。
変わりに、本当にどうでもいい事ばかり話しはじめた。
自分の学校生活や春樹に対する愚痴など。
怜治にはなぜそんな事を話すのか理解しがたかったが、勝手に話させておいた。
怜治が聞いていて気づいたのは、春樹の話が異常に多いという事。
この少女にとって、彼は特別な存在なんだろう。
そう考えたとき、昔の記憶が頭をよぎった。
怜治には昔から大事な人など一人もいなかった。
毎日誰かの血を見ない事などなかった。
いつからか現実から少しでも目を離すために始めた煙草。
ずっと変わらない孤独な世界。
そんな中、怜治は雨の中をたたずむ一人の少女に出会ったのだ。
6番手 いき♂
3(最後)
――ドオォォォン!!
――ビーッ! ビーッ! ビーッ!
爆発音に続き、警報が鳴り響く。
「残念でした、時間切れだよ」
ハルキの言葉に、笛を口から離した白羽が聞き返す。どうせこの警報の中では、笛など役に立たない。
「……どういうこと?」
「会話してる余裕、ないと思うんだ。ここはひとつ、協力して脱出しないと4人とも建物と心中することになっちゃうよ?」
いつもの春樹の口調を聞き、亜季が背後から詰問する。
「あんた何言ってんのよ!!」
「あー悪い。今思い出したんだ。そっこら中に爆弾仕掛けてあるんだよね」
「はあぁ!?」
「んだとごらぁ!?」
亜季と怜治が同時に叫ぶ。
「俺、昨夜、師範の命令で対トラップ訓練用爆薬を仕掛けたんだけどさ。ほら、今朝から侵入者さわぎで、トラップ訓練どころじ ゃなくなったじゃん」
「聞いてないわよそんなこと!!」
「まあまあ。で、まだ作動中の時限爆弾がけっこうある筈だと思うよ」
「思うって何よ思うって!!」
亜季の詰問はほとんど絶叫に近くなりつつある。
「土御門の侵入者だってプロだからね。いくつかは爆弾除去してるかもしれないけど全部は無理だろうな、ってこと」
――ドオォォォン!!
2度目の爆発音が聞こえてきた。
「面倒だ! てめーだけでも殺して……」
葉巻を吐き捨てた怜治にはいつもの冷静さがない。
「んなことしてるうちにあちこちシャッター閉じて、出られなくなっちゃうよ」
ハルキを睨み付けながら、白羽が言う。
「仕方がないわね。外に出るまでは一時休戦よ」
2008年09月06日 21:11 by いき♂
6番手 いき♂
2
――切断面の接合。
――真空シール除去。
――細胞再生、神経結合。
「えげつないお嬢さんだ……。真っ二つとは恐れ入った。だが、一応感謝もしておこう」
切断面がきれいだから再生できたのだ。
さっきから鬱陶しい痛覚に苛まれ続けている。しかし痛みは、全身の神経が元通りにつながり、動かせない部位がないことを告げ ていた。
「なかなか痛いな。まだ動けない。しかし――」
まだ少しぎこちないが、なんとか立って歩けるようになった。
彼は先ず着替え始める。
最早着られなくなった道着をはぎ取ると、周囲に折り重なるように倒れている部下の中から損傷の少ない服を選んで脱がせ、それ を手早く身に着けていった。
「神凪祈の最終兵器がなんであれ、私のような兵器を量産すれば土御門は安泰だろうに」
つぶやきながらも、判ってはいるのだ。
対人戦闘用にせよ、諜報活動用にせよ、完全な人型というのはひとつの戦闘あたりに期待できる戦果が小さく、コストパフォーマ ンスが悪すぎる。それはつまり、兵器市場に投入しても買い手がつかないことを意味している。
思考型対人戦闘用有機アンドロイド。それが彼、沖田海勢の正体なのだ。
「あれほど強いとなると、例の卑怯装備に頼るか」
「いる。センサーには反応がないが……たしかにいる!」
慶一郎は自分に装備されているセンサーが全てだとは思っていない。
廊下を走ってきたが、足を止め、腰を落とした。
武道家としての勘に従い、隠れた敵の気配を探る。
「……なるほど。光学迷彩……か!」
正確には熱光学迷彩。光の反射面を変え、周囲の景色と同じ色を作り出す。温度まで周囲になじむよう平均化するため、赤外線セ ンサーにも反応しなくなるのだ。
「そこっ!」
慶一郎の左手のガトリングが火を噴く。
――ダダダダダダ!
「ぐぅっ!」
慶一郎の左肩が抉れ、スパークが飛び散る。
垂れ下がった左手はすぐには射撃をやめず、ガトリングの砲弾がむなしく床を削る。
「私の勝ちですね、神凪祈師範」
光学迷彩をといた沖田が慶一郎の背後に現れた。彼の剣が慶一郎の左肩に食い込んでいる。
「……それはどうかな?」
「ぬあっ――!?」
慶一郎が背後に回していた右手。その先端の剣が、沖田の脇腹に食い込んでいた。
2008年09月06日 20:15 by いき♂
6番手 いき♂
1
――リカバリー・プログラム起動。
――バックアップデータ検索。
――警告。訓練用寸止めシーケンスに断片化。
――断片化ファイルを削除しますか?(Y/N)
――Y。
――リストア完了。
思考型対人戦闘用アンドロイド局地戦仕様、プロトタイプ「神凪祈慶一郎」再起動。
慶一郎の瞼が開いた。
「春樹……。まさか、あいつが敵だったとはな」
やはり、如月家など信用すべきではなかったのだ。
「ただの人間に過ぎない田村は絶望だな」
銃弾に抉られた穴によりかなりの量に及ぶ疑似血液兼冷却水が流失した。身体機能セルフチェックプログラム起動。
「全力駆動の制限時間は、長くても10分というところか」
しかも駆動系に障害が発生している。両手の指が動かない。
右腕を肘から取り外し、剣に換装。
左腕も肘から取り外し、ガトリングガンに換装。
「ついでに」
全力駆動開始と同時に自爆装置のタイマーが入るようにセット。
さらに、慶一郎がオーバーヒートしたら自爆装置の残り時間にかかわらず爆発するようにもセット。
――優先プログラム変更確認。
――抹殺。対象:如月春樹。
「春樹。貴様だけはこの島から出さん」
「ここで止まってもらうよ。神凪祈亜季さん?」
咥えた葉巻を斜め上に持ち上げ、怜治はにやりと不敵に笑う。
太刀を構える亜季。しかし、ハルキが制止する。
「怪我人は下がってろ」
「こんな掠り傷で怪我人扱いしないでち――」
「今度は俺の番だって言ってんだ!」
――また人が変わった!?
亜季はつい気圧されてしまった。
「わ、わかった、任せる。けどあいつ……。相当強そうだよ?」
「威勢の良い兄ちゃんだが、悪いけど手加減しないぜ? それにお嬢さん、俺は強そうなんじゃない。強いんだ」
既に間合いを窺い、駆け引きに入っている怜治の袖を、白羽が引く。
「こちらも交替よ」
「おいおい白羽。こんなときに何の冗談――」
白羽は怜治の反論を途中で遮った。
「時間がないわ。耳栓して」
「……ち」
白羽は余計なことは言わない。彼女のごく落ち着いた声の中に、目の前の少年と少女とは別の脅威に対する警戒の色を読み取った 怜治は素直に耳栓をし、白羽の背後を警戒する。
2008年09月06日 20:12 by いき♂
5番手アルフ
〜5部(最後)〜
「まずこれは褒めるべき?怒るべき?」
「あーもうどっちでもいいわよ。…イタッ!」
幸いにも亜季に重症の傷はなく、ハルキが持っていた救護品で簡単な手当てを行った。
「大体なんで戦術の基本があれなんだよ。基本って言ったら“常に冷静な状況判断”に決まっているだろ」
「ウッサイわねー。いいのよ勝ったんだから」
そう言うと亜季は廊下の脇に並べられた使用人達の亡骸をゆっくりと見つめ、そして最後に田村師範に目を向け、
「敵は取ったからね。…師範」
そんなことを言う亜季を見つめながら、ハルキは胸の奥で蠢く熱くドロドロとしたモノを必死に押しとどめていた。
―まだだ…まだ早すぎる。
心の中で沸き立つ感情を外面には出さずに春樹が尋ねる。
「それで、これからどうする?まだ先へ進むの?」
「当然じゃない!まだおじさんが見つかってないわ。探しに行きましょ!」
「残念ながら、その必要はないよ」
再び廊下に響く男の声に亜季とハルキの顔が弾かれたように廊下の先へ向く。
「君たちか。さっきの連絡にあった二人は。…沖田はやられたみたいだね」
始めに現れたのは高級そうな白と桃色の着物を着た少女。年齢はハルキと亜季よりも下に見える。
「それじゃ、悪いけどこっちも仕事だから…」
そしてその後ろから現れた、スーツと帽子に葉巻をくわえた男。年齢は二人よりもかなり上。
「ここで止まってもらうよ。神凪祈亜季さん?」
5番手アルフ
〜4部〜
その様子を離れたところで見ていた春樹はつぶやいた。
「ダメだ、ありゃ…。逆にやられちまうぞ…」
怒りにすっかり飲み込まれた亜季は得意の体術を活かした自己流戦術をすっかり忘れているらしく、いつものキレがまったく無く なっていた。
対する海勢は挑発的な口調とは対照的に落ち着いた体捌きで亜季の斬撃を交わし、確実に亜季を傷つけてゆく。
亜季の大刀は距離の長さと威力の高さが長所だが、その分はスピードが遅く体力消費が激しい。要するに短期決戦一撃必殺型なの だ。
そして海勢はその短所を見抜いており、意図的に戦いを長引かせていた。
「ちょっと!…ちょこちょこ…にげずにっ…たったたかい…なさいよ!」
体中に刀傷をつくり、息も絶え絶えの亜季。そして、
「何を寝ぼけたことを。そんなに私を斬りたいなら捕まえてみなさい」
血染めの道着を優雅に揺らしながら余裕で交わす海勢。
亜季は疲れと痛みと怒りで混乱する頭で必死に策を練っていた。
―このままじゃダメッ。何かが違う!でも何が違うの?
その時、背後から聞こえたハルキの一言。
「戦術の基本は?」
―基本?……ッ!?
瞬間、亜季の唇が不気味に釣りあがる。この状況においてその笑みは明らかに異質で、海勢を驚かせた。
「この場面でその笑みですか…いいでしょう、これで終わりです!」
何かしらの危険を感じ取った海勢が一気に勝負を決めにかかり、神凪祈家の秘技三段突きを繰り出す。
それを見ているのかいないのか、亜季は笑みを浮かべたまま刀を構えず、
ブスッと鈍い音を立てた海勢の剣が亜季の胸部へと突き刺さった。
……かの様に見えたが、背中から突き出た剣には血がついておらず亜季も崩れ落ちない。
直後、間一髪で脇の間へと敵の剣を滑り込ませた亜季の手が素早く動き、海勢の腕を握り締める。
「…つっかまーえたー!」
そして驚きに目を引ん剥く海勢の頭上へと残った片手で大刀を振り上げる。
「剣術の基本…」
海勢が身体を引く隙を与えず、
「肉を斬らせて骨を絶つ!!」
鬼神の大刀は敵を引き裂いた。
Copyright(c)1999 FC2, Inc. All Rights Reserved.
@fc2infoさんをフォロー