断片小説
短編小説よりさらに短い、というか、小説の体を成してない。
でも、今思いついたシーンを書きたい、そんなことってあるじゃないですか。
そんなあなたの、日の目を見ない物語の欠片を、チラ、と発表してみませんか?
それが面白そうだったら、ブログの小説の方も読んでみようか、と思われるかも知れませんよ!
2007年09月21日 16:46 by 石瀬醒
学祭(プレミア写真編)
「じゃーん!」
女装姿のリュウに凍りつくショウ。
「ショウ、似合う?」
笑顔で可愛く言うリュウにショウはピクピクと口元を引きつらせる。
「リュウ・・・その格好はいったい・・・」
「学祭で女装美女コンテストっていうのをするんだって。でね、クラスから2人でなきゃいけなくて、その代表になったんだ。似合 わない?」
そう悲しそうな表情で首を傾げるリュウ。
「えっ、あっと、似合いますけど・・・」
戸惑っているショウにリュウは嬉しそうに笑った。
「よかったぁ。でね、私と一緒に女装コンテストに出て欲しいんだ」
「えっ・・・それはちょっと・・・」
「駄目なの?」
うるうると目を潤ませるリュウにショウは慌てふためく。
「えっと、あのっ、あーっもう、わかりましたよ!!」
「ありがとうショウ!」
ドア隙間からこっそりと2人を見ている人物がいた。
「作戦どーり!!」
ガッツポーズをしてにやっと笑うネイに、隣にいたラインがクスクスと笑う。
「ショウはリュウには弱いからね」
「何度この瞬間を夢見た事か。いつもショウにいじめられている僕が初めて上に立てた気が・・・」
そう喜んでいるネイに、後ろにいたジンが小さく声を上げる。
「あっ、やばい・・・」
ガラー
ドアを開けたのは、凄い目で睨むショウだった。
「ネ~イ~貴方の仕業ですね」
にっこりと笑いながらキレているショウ。
「うわっっっ」
それが恐くて逃げようとするネイ。
しかし、ショウに首の襟をつかまれてその場から動けない。
「ジン、ライン、助けて~!あれ?いない!!」
ラインとジンはいつの間にか消えていた。
「わーん、ごっごめんなさーい!許してー!!」
一方、危険を察知し、逃げたジンとラインは遠くでその光景を眺めていた。
「すまん、ネイ。俺にショウは止められない。でも・・・」
ジンが最後のセリフを言う前にラインが笑いながら答える。
「クククッ、自業自得だな。こうなる事は前もって予想できただろうに」
その当たり前のことが予想ができないのがネイなのだ。
“ごめんなさーい”っとネイの叫びが廊下に響き渡った。
学祭では大いに盛り上がり、リュウとショウの女装姿の写真は飛ぶように売れた。
が、ショウがそれに激怒し、その写真を片っ端から奪い取り破り裂いたのだった。
その後、数少なくなったその写真にプレミアがついたのはいうまでもない。
真っ白の部屋。
壁も床も何もかも白。
何も無い部屋。
影も家具も何もかも無い。
出して。
出して出して出して。
ここから出して。
真っ白はイヤ。
何処を見ても無機質な白。
真っ白はイヤ。
真っ白はイヤ。
狂ったように頭を掻き毟っても絡みつく筈の黒は無い。
真っ白はイヤ。
真っ白はイヤ。
真っ白はイヤ。
真っ白の服を身にまとわされ。
真っ白はイヤ。
真っ白はイヤ。
真っ白はイヤ。
真っ白はイヤ。
己の肌さえ白く私を狂わす。
真っ白はイヤ。
真っ白はイヤ。
真っ白はイヤ。
真っ白はイヤ。
真っ白はイヤ。
2009年08月09日 20:35 by †空羅†
「料理?」
予想外の言葉に二人は目を丸くして、聞き返す。
質問したのはフロウ とある国の家臣である。
対して聞かれたのは特攻隊隊長リョウヤ・魔法部隊隊長ユウタであった。
「しないよ」
「しませんね・・」
「そっかぁー」
「何で?」
「いや 昨日さ、ケインに馬鹿にされたんだよ」
どうやら料理もまともに出来ないことを鼻で笑われたらしい。それで悔しかったから、一泡吹かせてやろうと思ったそうだ。
「すいません。調合なら少し出来るんですけどね・・」
他の仕事があるので料理などしている暇など無いのだろう。その返事にそこまで驚いた様子も無かった。どうやらここで何かを思い ついたらしい。
「いい事考えたぞお前等!!」
「いきなり大声を出すなよ びっくりするなぁ」
「何ですか?」
フロウの提案を聞いた後の二人の顔は悪そうににやけていた。
「これは何だ?」
「・・・・何だろう」
目の前にはこの世の物とは思えない“何か”が皿の上に。口を引きつらせ苦笑いするは、この国の王子レイフォード。隣で顔を真っ 青にして目の前の物体(?)を見つめているは第二特攻隊隊長ケイン。
「ケインが料理も出来ないのかって馬鹿にしたから作ってやったぜ!」
「・・・何を?」
「料理に決まってんだろ!」
「さ 食ってみろ」
悪魔の囁き いや 地獄への招待状か。
「ぼぼぼぼぼ僕は今お腹いっぱいだからいいや・・」
「お 俺もさささっき飯食ったばっかなんだ・・よ」
「何言ってんだよ!さっき二人で腹減ったっていってただろ♪」
身体が拒否反応を示している。今日が命日だと二人は覚悟した。こいつらは意地でも食わせたいらしい。
「(ケイン お前なんか言ったのか?)」
「(いや 料理できないって言うから少しはできないとまずいぞ って・・・)」
「早くしろよー!あ!!昔みたいに、アーンしてあげよっか」
「いらん!!!」
フロウなりの急かし方にレイは言葉を荒げる。どうやら本気で食べるしか道がなさそうだ。ユウタが魔道書を リョウヤが剣を握っ たのが見える。
震える手を動かして一口
「―ッ」
その後どうなったのかは知らないが、三人は厨房に半径三メートル以上近づく事を禁止されたそうだ。
ギャグ系です;;ブログで書いてる小説のパロディですww
楽しんでいただければ幸いです^^ゞ
2009年07月29日 22:49 by 双葉 雪
*R15/残酷表現(人によると思います。
いろんな意味でしょーもないですが。投下させてください><
****
草原で一夜を明かしたイムトーは、儀式の終わりとともに、追ってきた人買いの男たちによって捕えられた。草原の民の多くはイ ムトーを継げば易々と死ねなくなることから、そのために泳がされていたのだとのちに知った。
奴隷商たちの根城に連れ帰られたイムトーは、周囲への見せしめのために浄身されることが決定した。浄身とはすなわち、性器切 除のことを指す。そうでなくともイムトーのような異民族出の捕虜たちは、浄身されて宮中に収められることがほとんどだ。案の定、 彼らは捕らえた奴隷の半数以上を浄身し、宦官として売買するこころづもりであるらしかった。
男の証をのぞかれた彼らは宦官と呼ばれ、主に宮中で使役される。もしくは皇王族や高官らの私邸でつかわれることもしばしばだ った。宦官は元来、後宮あるいは妻や妾たちの世話をするための奴僕だ。一夫多妻制の葦国世界では、去勢された男奴隷の需要は宮中 以外にも掃いて捨てるほどにある。
遊牧民崩れの奴隷商たちは、生き残って仲間を売買した金で食いつないでいた。イムトーのような境遇の人間は彼らにとりいい金 蔓だ。そのことを蕩々と聞かされたのち、イムトーは吉日を選んで浄身に処された。衆人の前で。
幸か不幸か、イムトーの去勢をおこなったのは宦官製造の専門職の男だった。あまたの奴隷商を渡り歩き、その技術を買われて数 年前からこの商団に属している。飲んだくれのこの男は、葦国で追放処分を受けた罪人のひとりだった。商団には似たような境遇のも のがひしめいている。
四日の節食と一日の断食を経て、その日イムトーは石灰を厚く撒いた床に寝かされた。両脚を左右に開いて固定され、腰を押さえ つけられて施術された。睾丸と陽物を根本から切り落とされた瞬間、イムトーは絶叫した。屈辱ははかりしれなかった。
患部を洗浄したのち、白鑞(はくろう)製の栓を尿道に差しこまれ、昏倒したのをたたき起こされ三刻ほど歩かされた。もうろう とした意識のなかで水を乞うたが許されず、三日目になってようやくのこと許された。水を許されると同時に栓も抜かれ、うまく尿も 噴出したことで尿道の癒着もないきれいな傷口だと太鼓判を押された。男の技術は一級だった。
「太陽はかわいそうだ」
赤くなった目に涙を溜めながらニコルはそう言った。
「この世界に光を与えてくれているのに、誰一人、まっすぐに自分を見てくれないだなんて」
「サングラスをして見ればいいじゃないか、なにも直接見る必要なんて無いだろ」
「そんなの意味無いじゃないか。友達に触れる時に君はゴム手袋をする? しないでしょ? まっすぐと、この両目で見てあげな ければ意味はないんだ」
そう言うニコルは頑なだった。
「ニコルは太陽と友達になりたいんだね」
「うん、そう」
「どうして?」
「太陽には友達が居ないから」
「そんなの解らないじゃないか」
「わかるよ、ぼくにはわかるんだ」
根拠なんて無いくせに、と思いながら僕は真っ赤な目で空を見上げるニコルの手を引いた。
「帰ろう、ニコル」
空いている方の手で目をこすりながらニコルは首を振った。
そこで僕はニコルの無口な片割れの名前を口にする。
「フィヲが待ってるよ」
「……うん」
渋々頷いたのを確認してから手を引いて歩き出す。
だいぶ傾いた太陽に背を向けて。
そんな事を考えていると、電車がまた駅に停車した。人が降りていく隙間からするりと瑞基が彼方の前へ逃げ込んでくる。瑞基が ほっと息をついたところで、ようやくずっと様子を見ていた彼方に気がついた。
盛大に寄せられた眉にため息をつく。何でよりによってここへ逃げ込んできたのか。初めて会ったとき彼女を男だと間違えて大喧 嘩して以来、彼女に嫌われているというのに。
瑞基が何か言おうと口を開くが、入口からどっと人が押し寄せてきて大きくよろめいた。
(あぶね……っ)
咄嗟に彼方は倒れそうになる体を引き寄せてしまった。
はっと気づくと、彼方の腕は瑞基の腰にまわり、瑞基は彼方の制服のジャケットをしっかりと握り身を寄せていて、他の人から見 れば抱き合っているかのように見える体勢だった。
電車はお構いなしに動きはじめる。そろりと瑞基の様子を伺うと、圧迫感があるのか苦しげに顔を歪ませていた。
「……いっつもこんなんに乗ってんの?」
瑞基は電車通学だったはずだ。こんな満員電車には慣れていそうなはずなのだが。疑問を口に出すと瑞基はちらりと彼方を見てた め息をついた。
「……この時間帯はこうだから、いつもはもっと早い時間のに乗ってる」
「へえ。今日は?」
「紅綺が泊まりに来てたんだ」
瑞基が言うには、幼馴染みの紅綺が家に泊まりに来たあげく寝坊したらしい。起こしても起きなかった紅綺は置いてきたんだと。
(へーぇ、仲がよろしい事で)
つい口を出そうになった言葉を心の中だけで呟いた。言おうものならまた瑞基と喧嘩になる。こんな狭い場所での喧嘩は勘弁した い。
ため息をつきそうになるのをぐっと堪えて、ドアの外の景色に目をうつす。今もぐうぐうと寝こけているだろう紅綺を羨ましく思 った。幼馴染みだからって仲が良過ぎないか。
***
完結済み『愛し愛されて生きるのさ』の主役二人の過去を少し。
興味を持った方は、一度覗きに来てくださいね。
2009年05月25日 14:03 by 朝倉 悠斗
他にやる奴がいないからって担任に押しつけられた「委員長」だけど、やっぱり委員長なんてやるんじゃなかった。
「よう、委員長。こんな時間までお仕事? どしたの恐い顔しちゃって」
私だけが委員長の仕事で残っていて、みんな帰ってしまい一人だった教室。ずかずかとそこに入ってきて、目の前でへらへらと 笑う男子を、私はきっと睨んだ。
「お前こそ、何でこんな時間まで残ってるんだよ」
私が言うと、私とはまるで正反対のおちゃらけた男子、山岡は、へらへらした調子を崩さず答えた。
「俺は部活で残ってたの。委員長は何それ、あ、今度の文化祭の仕事? おいおいそんなの誰かに任せろよ。分担しなきゃ、委員 長ばっか大変な思いして不公平じゃん」
「全くだ。委員長なんて損してばっかで、何もいいことない。やらなきゃよかった」
私が言うと、山岡は苦笑する。
「きついなあ。まあほら、委員長だと内申良くなったりするんじゃない?」
「そんなの、委員長なんかやらなくたって私は十分いいんだよ。お前と違って」
「はいはい。委員長様は成績優秀だもんねー。ぶつぶつ言いながらも委員長の仕事も頑張ってるしね。ほんと、委員長は偉いっ」
子供にするように、ぽんぽんと私の頭を撫でる山岡。
「……委員長なんてやるんじゃなかった」
「ええー。こんなに褒めてんのにぃ」
「委員長なんて仕事は大変だし、時間はなくなるし、責任ばっか重くて、何より」
私は、山岡から顔を背けて言った。
「委員長なんて、お前に名前で呼んでもらえないじゃないか」
ぶーんと朝から芝刈り機の音がしていた
ぱちんぱちんと枝切り鋏の音もしていた
いつもは後回しになっている洗濯機をぶんぶん回して
たまっていた洗濯物をすべて干した。
ベッドに寝転がって本を読むクセは止めようと思う。
だって、ベッドに読んだ本や読みかけ本がごろごろ
片付けられないんだから止めようと思うのに
本日も本棚を物色して本を探している。
あーあだよねと、その腕を枕代わりにさせてもらっている隣の人を
見上げて同意を求めると、やはり文庫本に熱中しているその人は
うーだかふーだかのどの奥で返事をしているだけで
まぁいいかぁと、自分も活字に視線を戻し、腕枕してもらっている
其の人の肌から、風呂上がりの石鹸の香りが漂い
その香りを深く吸い込みながら、
ぶーんという音や
ぱちんぱちんという音をBGMにして聞いている
部屋中の窓を開け放してあると、
少し水気のある冷えた空気が流れてきて、
こんな時だけは、時間がゆっくり流れる。
ぱたっと近くで音がしたので、おやと顔をあげると
案の定、腕枕の人はすやすやと安らかな寝息を立てていて
タオルケットを掛けてやりながら、はいお休みと額にキスすると
一瞬だけ、ふにゅだとかむにゅだとか鼻で返事をして
寝顔というのは、何だか幾つになっても、幼いもんだよなぁと思う。
再び本に視線をもどして、腕枕の人の石鹸の香りと温もりと
外からのどかに聞こえる、ぶーんだったり、ぱちんぱちんだったり
それらの音に混じって、今度は、ぷーぷかぷーぷかと拙い演奏が始まる。
何処かで子供が奏でているピアニカ。
きょぉーおーぉは、
おやーすみぃー
おやーすみぃー
すやすや
ごろごろ
ぷーかぷー
ぷーかぷー
足元で丸くなっていた猫が、うーんにゃぁと伸びをした。
2009年05月14日 08:40 by e_fyu
”おかえりなさい”
闇の中、誰かが両手を広げてそう頬笑む。
”おかえりなさい”
誰も居ない筈の其処に、「誰か」が鎮座して、私を待っている。
意味を為しているとは到底思えない繰言を口にして。
節々が痛む。
全身が鉛の様に重い。
意識だけが鮮明で、だからだろうか、必要以上にその声が響くのは。
”おかえりなさい”
私の帰る場所は其処ではない。
拒絶すべき言葉は、喉まで競り上がって痞える。
優しく優しく笑っているソレを、最後の最後で受容れてしまいそうだ。
何故だろう?
何故?
わからない。
”おかえりなさい”
飽きずに、めげずに、ソレは繰り返す。
両手を広げて、優しく頬笑んで、私を待ち続けている。
目蓋が重い、肉体が重い、意識が――飛びそうだ。
(私の帰る場所は、其処ではない)
”お還りなさい”
唐突に悟る。
そう、私の「帰る場所」は其処には無い。
けれど、私の「還る場所」、は。
”お還りなさい”
そして、
”お休みなさい”
2009年05月05日 12:21 by 村端
夕暮れ北の空を見上げてぎょっとした。
ベランダから見える小高い丘の上に、巨大な椎茸が浮かんでいたのだ。
しかも、丸くて肉厚ななんとも美味しそうな椎茸だ。
あの椎茸だったら、シンプルに網焼きにして、
醤油をたらしたら、その香ばしい匂いと椎茸の香りで
後は何にもいらないだろうなぁと、空に浮かぶ椎茸を眺めながら思った。
夕飯時のこの時間、あたりには美味しそうな匂いが漂っていて、
少なくとも、この近所ではほとんどの家庭が、
あたたかな夕食を囲んでいるんだろうなと思わせた。
強く香るのは、カレーに焼肉、あるいは鉄板焼きにバーベキュー
天ぷらやフライなどの揚げ物の匂いも負けていない。
そんな美味しい匂いが漂う夕暮れの空気を吸って、お腹がぐぅと鳴った。
見上げれば、未だ巨大な椎茸は北の空にぽっかりと浮かんでいる。
あの椎茸を網焼きにしたら、カナリの人数がお腹いっぱいになるだろうなぁ。
涎を飲込んで、椎茸をながめていたら、東から西からバラバラとヘリコプターが
数機現れた。
あ、やっぱり皆醤油とお箸を持って、椎茸を食べに行くんだろうなぁ。
でも、あの大きな椎茸、網焼きにはどうやってするんだろう?
いやいや、そんなことよりも、私も早く椎茸を食べに行かなくちゃ!!
あわてて、小皿と醤油さし、それに箸をしっかり握って、
小高い丘の上、椎茸に向かって私も走り出した。
ああ、でもお酒飲みたくなっちゃうなぁ。
2009年04月27日 07:13 by e_fyu
Copyright(c)1999 FC2, Inc. All Rights Reserved.
@fc2infoさんをフォロー